電子契約とEDIは何が違うのか?すでにEDIを導入している場合、電子契約は不要か? | 電子契約

電子契約とEDIは何が違うのか?すでにEDIを導入している場合、電子契約は不要か? | 電子契約

日鉄ソリューションズ株式会社
斎木康二

電子契約とEDIは何が違うのか?

「電子契約とEDIは何が違うのか?」「すでにEDIを導入している場合、電子契約は不要か?」

これも電子契約をご紹介するセミナーや営業活動の中で、お客様からしばしばいただく質問です。

今回はこの質問に取り組んでみましょう。

ただ、最初から言い訳をするようですが、「電子契約」は比較的新しい概念で、まだその定義が定まっていません。また「EDI」も近年のWeb-EDIやXML-EDIなどの登場により、その姿をかえつつあります。両方とも流動的な概念で、その境界は明確ではないのですが、ひとつの解釈として私たちの考えていることをお話していきたいと思います。

電子契約とEDIの定義

まず電子契約とEDIについて言葉の定義からみていきましょう。

「電子契約」について、Wikipediaでは以下のように説明されています。

「電子契約(でんしけいやく)とは、契約のなかで、合意成立の手段として、インターネットや専用回線などの通信回線による情報交換を用い、かつ合意成立の証拠として、電子署名やタイムスタンプを 付与した電子ファイルを利用するものをいう。」

ポイントは通信手段にインターネットを利用すること、証拠力強化の手段として電子署名とタイムスタンプを利用することの2点ですね。

なお、私たちは、もう少し具体的に、「電子契約とは、従来の押印のある紙の契約書を、電子署名とタイムスタンプのある電子ファイルに代替し、インターネット経由でとりかわす契約」と考えています。

「EDI」については電子取引推進協議会で、「企業間の商談、取引のために必要なメッセージを、広く合意された標準的な規約に基づいて、通信回線を介してコンピュータ間で交換すること」と定義しています。

定義上の電子契約とEDIの違い

定義だけみると電子契約とEDIはかなり類似していて、EDIは電子契約を含む概念のようにも解釈できますが、あえて違いを探せば、以下3点になりそうです。

  1. EDIは「企業間(B to B)」に限定しているが、電子契約にその限定はないこと
  2. EDIは業界など多数の企業による「広く合意された標準的な規約に基づいて」制定された通信プロトコルやフォームを前提としているのに対し、電子契約では書面契約同様、個別企業間の自由にまかされている。
  3. 電子契約は証拠力強化の手段として、電子署名とタイムスタンプを前提にしているが、EDIにはそのような限定はない。

EDIは企業間の電子データの交換全般を指すのに対し、電子契約は紙の文書を電子文書代替して契約をすることをイメージしているんだ。

VAN型EDIと弊社電子契約サービスの比較

では次に、より具体的に理解するために、日本でもっとも広く利用されているVAN型EDIと弊社の電子契約サービスを比較してみましょう。

まずは以下の比較表を眺めてみてください。

VAN型EDI電子契約サービス
対象業務 受発注・見積・入出荷・決裁 書面で行われているあらゆる契約業務の代替。受発注・見積・入出荷・決裁・基本契約・秘密保持契約・・
フォーマット 各業界標準フォーマット:流通業界JCAフォーマット、電子機器業界EIAJフォーマット、金融業界全銀協フォーマットなど 書面と同様の扱いで、特定フォーマットはない。自由フォーマット。ただし、ファイル形式は、PDFなど。
コード 各業界標準コード:商品コード、取引先コード、拠点コードなど コードなし
通信プロトコル 各業界標準プロトコル:JCA手順、全銀協手順、J手順など インターネット通信プロトコル:HTTP(S)、TCP/IP
通信経路 専用線 VAN インターネット
セキュリティ
確保の手段
専用線、VPN、クローズな参加者で担保 電子署名、タイムスタンプ、SSLなどの暗号技術で担保
運用規約 中立組織が業界のEDI運用規約を定める 中核となる(サービスオーナー)企業1社が規約を決める
社内システム
連携
社内購買・販売システムと密連携を志向。発注データ・仕入データについてオンライントランザクション処理を志向 購買・販売システムとは疎連携。印字を紙に行う代わりに、PDFファイル出力を行い、その属性情報をCSVファイルでおくるだけ。書面代替。オフラインバッチ処理を志向
想定する
利用環境
業界参加、大規模システム、コード共有 サービスオーナー1企業とその取引先複数間の、1:Nの個別・小規模システム

VAN型EDIと弊社電子契約サービスの違い

この比較表をみると、VAN型EDIと電子契約の主な違いは以下3点にあるようです。

  1. 業界標準大規模利用 ↔ 1企業とその取引先の個別小規模利用
  2. オンライントランザクション処理 ↔ 書面代替 オフラインバッチ処理
  3. クローズな環境によるセキュリティ ↔ オープンな環境のもと、電子署名とタイムスタンプによるセキュリティ

こうしてみると、定義上は似ている両者も実はその目的・実運用には大きな違いがあることがわかります。

EDIは業界全体で規約をつくり、システムを連携し、オンラインでデータ交換をする大規模システムという感じね。

EDI導入済の会社に電子契約は不要か?

では、最後に「EDIを導入している会社は電子契約はいらないのか?」という問題を考えてみます。

この問いに対する答えは「EDIを導入している会社の多くが電子契約を必要としている」と断定できると考えています。なぜなら、実績として、いま弊社電子契約サービスを利用しているユーザが、実はそれぞれ電子契約以外に、業界の標準EDIに加入しているからです。

つまり、たとえ業界の標準EDIに加入している企業でも、異業種との取引や、海外との取引、一時的な取引、図面などを含む多量の書面が必要な契約などではEDIを利用しにくいため、結局書面で取引を行っている場合がほとんどです。書面で契約を行うために、印紙税を払い、紙作業を行わなければならないわけです。EDIが万能というわけではないのです。

ということで、EDIを利用していない企業はもちろん、すでに導入し効果をあげている企業でも、書面による受発注、契約が残っていないか確認してみてください。もし多量の書面が使われているようでしたら、電子契約の導入により大幅なコスト削減を実現できる可能性があるということになります。

たとえEDIを利用していても、電子契約を活用する余地はとても大きいんだ。


電子契約導入のための20のヒント : 目次

1. 法令

1.1 電子帳簿保存法 : 電子契約で税務調査に対応できるのか?
1.2 電子帳簿保存法 : 電子契約と書面契約の混在に問題はないのか?
1.3 電子帳簿保存法 : スキャナ保存と電子契約
1.4 電子署名法 : 注文書や注文請書を本当に電子化して大丈夫か?
1.5 電子署名法 : 電子署名の証拠力
1.6 印紙税法 : 電子契約の場合、本当に印紙税を払わなくてよいのか?
1.7 下請法 : 下請法対応に関する注意点
1.8 建設業法 : 建設請負契約の電子化について

2. 技術

2.1 電子署名 : 電子署名・署名検証の作業イメージは?
2.2 電子署名 : 電子署名のしくみとはたらき
2.3 電子署名 : 電子証明書を選択する5つのチェックポイント
2.4 電子署名 : 長期署名について~10年を超える契約への対応~
2.5 タイムスタンプ : タイムスタンプの効果としくみ
2.6 EDI : 電子契約とEDIは何が違うのか?

3. 運用

3.1 導入目的 (ROI・購買プロセスの見える化) : 電子契約導入のためのROI算出方法
3.2 導入目的 (ROI・購買プロセスの見える化) : 電子契約による購買プロセスの見える化
3.3 機能 (契約書管理・カスタマイズ) : 電子契約の導入で契約書管理を劇的に改善
3.4 機能 (契約書管理・カスタマイズ) : 電子契約導入時に効果的なカスタマイズのご紹介
3.5 手順 (スモールスタート・取引先説明) : スモールスタートのすすめ
3.6 手順 (スモールスタート・取引先説明) : 取引先に参加してもらうにはどう説明すればいい?)

電子契約導入のための20のヒント
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