電子契約で税務調査に対応できるか? | 電子契約

電子契約で税務調査に対応できるか? | 電子契約

日鉄ソリューションズ株式会社
斎木康二

監修 宮内・水町IT法律事務所 弁護士 宮内宏

電子契約で税務調査に対応できるか?

契約書、注文書、注文請書、請求書などの文書(ここからはこのような文書を契約文書といいます。)を保管する目的のひとつに、国税による税務調査への対応があります。3~5年に一度、税務署の調査官がやってきて、調査官が帳簿に目を通しながら、「あの契約書をだせ」「この請求書をみせろ」と指示するあの調査です。

ところで、電子契約を導入すると紙の契約文書はなくなります。その上、電子化された契約文書(ファイル)は調査官が調査する事務所にはなく、遠く離れたデータセンターにあります。これで調査官はゆるしてくれるのでしょうか?「電子契約って税務調査のとき大丈夫なの?」今回はこの疑問に取り組みます。

税務調査って大変だけれど電子契約の場合大丈夫なのかしら?心配だわ

契約文書の保存義務

まず電子契約の話しをする前に、紙の契約文書の話をします。そもそも、会社が税務調査に対応するために、紙の契約文書を長期間保管しなければならない法的根拠はどこにあるのでしょうか?

これは、法人税法、所得税法などの税法にあります。例えば法人税法施行規則第59条及び第67条では、注文書、契約書、送り状、領収書、見積書などについて、整理して7年間納税地で保存することが定められています。所得税法や消費税法でも同様の規定があり、このような法律があるから、調査官は「あれを出せ、これを見せろ」と言ってくるわけです。

電子契約を行った場合の契約文書電子ファイルの保存要件

では、電子契約を導入し、契約書が紙から電子ファイルにかわるとどうなるのでしょうか?確かに以前は紙に印刷して保管しなければならなかったのですが、平成10年の電子帳簿保存法の制定により、一定の条件を満たせば、契約文書を電子ファイルのまま保存することが特例としてみとめられるようになりました。電子帳簿保存法第10条に「電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存」の規定があり、ここに電子契約を行ったばあいに、契約文書を電子ファイルのまま保存するための要件が定められています。

電子帳簿保存法のおかげで、紙に印刷しないで、電子ファイルのまま保存できるようになったんだ。

ただ、電子帳簿保存法は非常にわかりづらい法律で、私たちも電子帳簿保存法、施行規則、取扱通達、趣旨説明、Q&A、国税庁HPなどを総合的に解釈し、わからないところを国税に確認しながら電子契約を行う場合の保存要件を以下のようにまとめました。

電子契約を行った場合の契約文書電子ファイルの保存要件

  1. 保存対象:各税法に保存規定のある、注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類
  2. 保存場所:データセンター所在地でよい。ただし、納税地、事業所在地にPC,ディスプレイ、プリンタがあり、ネットワーク経由でアクセスできること
  3. 保存期間:各税法にさだめられた保存期間。法人税法では7年
  4. 真実性要件:(1) 電子署名およびタイムスタンプ または (2)正当な理由のない訂正及び削除の防止に関する事務処理規程の制定及び当該規定に沿った運用
  5. 備え付け:操作説明書、システム概要書など(4-(2)の場合には事務処理規程の備え付けも必要)
  6. 検索機能:文書名称、金額、日付、相手先などによる検索、アンド検索、範囲検索

これが保存の要件ね。ずいぶんたくさんあるのね。

この中では、4の真実性要件が一番わかりにくいのですが、その説明はまた別の機会に譲りたいと思います。

所轄税務署長への申請と承認

それから、電子帳簿保存法というと、「所轄税務署長への申請と承認」が必要と思われるかもしれませんが、この電子契約を行った場合の保存要件については申請も承認も必要ありません。というより、申請・承認がなくとも必ずまもらなければならない規定であることに注意が必要です。

ただし、電子契約を行っても、電子ファイルでデータを保存しないで、紙に出力して保存すると決めれば、当然この要件に従う必要はなくなります。

紙に印刷して保存することも認められているんだ。

保存要件の全てをみたすのは少し大変そうに見えますが、電子契約導入によって、紙にプリントし、保存し、検索する手間がなくなるメリットを考えれば十分対応できる範囲といえそうですね。

弊社サービスは、電子帳簿保存法への対応を前提としてシステム開発・規約・運用となっています。利用契約を締結し、サービスを導入し、運用ルールを守ることにより、スムーズに法対応が実現できるしくみになっていますので、安心してご利用いただけます。


電子契約導入のための20のヒント : 目次

1. 法令

1.1 電子帳簿保存法 : 電子契約で税務調査に対応できるのか?
1.2 電子帳簿保存法 : 電子契約と書面契約の混在に問題はないのか?
1.3 電子帳簿保存法 : スキャナ保存と電子契約
1.4 電子署名法 : 注文書や注文請書を本当に電子化して大丈夫か?
1.5 電子署名法 : 電子署名の証拠力
1.6 印紙税法 : 電子契約の場合、本当に印紙税を払わなくてよいのか?
1.7 下請法 : 下請法対応に関する注意点
1.8 建設業法 : 建設請負契約の電子化について

2. 技術

2.1 電子署名 : 電子署名・署名検証の作業イメージは?
2.2 電子署名 : 電子署名のしくみとはたらき
2.3 電子署名 : 電子証明書を選択する5つのチェックポイント
2.4 電子署名 : 長期署名について~10年を超える契約への対応~
2.5 タイムスタンプ : タイムスタンプの効果としくみ
2.6 EDI : 電子契約とEDIは何が違うのか?

3. 運用

3.1 導入目的 (ROI・購買プロセスの見える化) : 電子契約導入のためのROI算出方法
3.2 導入目的 (ROI・購買プロセスの見える化) : 電子契約による購買プロセスの見える化
3.3 機能 (契約書管理・カスタマイズ) : 電子契約の導入で契約書管理を劇的に改善
3.4 機能 (契約書管理・カスタマイズ) : 電子契約導入時に効果的なカスタマイズのご紹介
3.5 手順 (スモールスタート・取引先説明) : スモールスタートのすすめ
3.6 手順 (スモールスタート・取引先説明) : 取引先に参加してもらうにはどう説明すればいい?)

電子契約導入のための20のヒント
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