電子契約導入のROI(投下資本利益率)算出方法のご紹介 | 電子契約

電子契約導入のROI(投下資本利益率)算出方法のご紹介 | 電子契約

日鉄ソリューションズ株式会社
斎木康二

IT投資のROI(投下資本利益率)とは

IT投資の効果測定を行うための重要な指標にROI(投下資本利益率)があります。IT投資におけるROIとは、IT投資により生じる利益額をIT投資額で割ったもので、ROIが大きいほど、投資効果は高いわけです。

またROIの逆数は、何年でIT投資を回収できるかを示す「投資回収期間」をあらわします。

例えば、投資額1000万円で、毎年200万円の利益を生じるIT投資の場合、ROIは200/1000=20%となり、投資回収期間は0.2の逆数である5年になります。

さて、電子契約を導入して、ペイするのかどうか?今回は電子契約導入に関するROIの算出方法をみていきます。

電子契約のROIの算出方法

まず年間の投資利益金額にあたる分子は、電子契約導入によるコスト削減金額(印紙税、郵送費、保管費用など)および業務効率化評価額の和になります。これ以外に、コンプライアンス強化も電子契約の大きなメリットのひとつですが、金額に換算しにくいので、今回は除外して考えます。

次に投資額にあたる分母は、電子契約導入初期投資金額と年間利用料の和になります。

IT投資のROI(投下資本利益率)とは

では、ここからはあるSI企業A社の例をモデルに電子契約導入のROIの算出の流れをみていきましょう。

年額投資利益を投資金額で割ったものがROIなんだ。

Return1 - コスト削減額(印紙税・郵送関連費・保管場所代)

  • 印紙税:
    A社では、ソフトウェア開発などの請負契約の発注が年間200億円あり、平均800万円×2,500件の請負発注をしています。そのうち1,000件(80億円)は100%子会社への発注です。請負契約の場合、原則として注文請書を作成する受注側が印紙負担をするのですが、A社の100%子会社が負担している年間1万円(金額800万円の請負契約請書の印紙税額)×1,000件=1,000万円の印紙代は電子契約導入により不要となり、これが連結決算で考えた場合のA社の年間印紙税削減金額となります。
  • 郵送関連費:
    A社の請負契約発注件数は、年間2,500件で、発注1件あたり、見積依頼書・発注書・検収書・精算確認書の4件の送付を行っています。書類送付1件あたりにかかる郵送関連費は、切手代120円+印刷費40円+封筒代20円=180円となります。よって、総額は2,500本×4件×180円=180万円となり、これが年間郵送関連費削減額となります。
  • 保管スペース費用:
    税法でさだめられた国税書類を7年間平米単価1万円のオフィスで保管するとします。国税書類は、見積依頼書、見積書、発注書、注文請書、業務完了報告書、検収書、精算確認書の7点でA4で20ページあり、発注案件が年間2,500件あるので、保管すべき文書は合計50,000ページになります。
    キングファイル1本に250ページ保管すると、200冊になり、キャビネット1台に50冊入るとすると4キャビネット必要になります。
    1キャビネットあたり1平米のスペースが必要とすると、4平米のスペースが必要となり、平米単価1万円としたので、1万円×4キャビネット×7年間=28万円となります。この28万円が、1年間であらたに生じた文書の7年間の保管スペース代で、電子契約により不要になります。

以上より、この例での電子契約導入による、年間コスト削減額は、印紙税1,000万円+郵送費180万円+保管スペース費28万円=1,208万円となります。

連結子会社の印紙税削減額を投資利益と換算するのね。金額がとても大きいわ。

Return2 - 業務効率化評価額

  • 発注1件あたりの業務効率化評価:
    まず、発注1件について、書面契約業務にかかる時間と電子契約にかかる時間の差を算出します。
    送付する書類は、見積依頼書、発注書、検収書、精算確認書の4種類、受領する書類は見積書、注文請書、業務完了報告書の3種類とします。

    送付書類4点につき、それぞれ印刷、押印、封入、発送、コピーの保管で20×4=80分の手間がかかります。また受領書類3点につき、開封、システム入力、保管で10×3=30分 手間がかかるとすると、書面契約の場合、1件あたり110分が必要業務時間となります。

    電子契約の場合、システム上で確認し、自動署名、自動発送になりますので、発送書類4点につき、2×4=8分となります。また、受領書類については、内容確認、システムへの自動入力となり、2×3=6分となり、合計14分です。
    よって発注1件あたりの業務効率化時間は110-14=96分となります。
  • 業務効率化評価額:
    前提・・・1時間当たりの労務費1500円とする   
    効率化時間=96分×2,500本=240,000分=4,000時間   
    4,000時間×労務費1,500円=600万円

業務効率化評価額は実はこの事例よりおおきいことが多いんだ。

以上から分子の年間利益額は初年度1208万円+600万円=1,808万円になります。

Investment1 初期投資金額

  • 電子契約サービス初期費用:
    初期導入費用として100万円、さらにシステムカスタマイズ費用として、200万円かかるとすると、その合計額300万円となります。

Investment2 年間利用料

  • サービスオーナー利用料金:
    50ID、10GBが上限で、月額利用料金は36万円となるため、年額利用料金は36万円×12ヶ月=432万円
  • 取引先利用料金:
    サービスオーナー企業は取引先への課金を自ら設定し、自社に徴収できます。
    この例では取引先50社に対し、年額2万円の利用料金を設定したため、
    年額取引先利用料金=2万円×50社=100万円

よって、実質年額利用料金=432万円-100万円=332万円となります。

サービス導入企業が利用料をまずは一括負担するのね。

以上から分母の電子契約導入初期投資金額+年間利用料=300万円+332万円=632万円となります。

計算のまとめ

計算のまとめ

サービス導入企業のROI

以上より電子契約サービスを導入した企業のROIは以下となります。

サービス導入企業のROI

以上のように、電子契約のROIは286%以上となり、初期投資を4ヶ月ほどで回収し、それ以降は導入前と比較すると、毎年1,476万円(1,808万円-332万円)の利益が出続けることになります。
IT投資のROIは通常数十%といわれていますので、電子契約導入のROIは驚くほど高いといえるようです。その理由は金額の内訳をみていただくとはっきりわかるのですが、印紙税削減効果が1,000万円あることがおおきく影響しています。
子会社に多額の請負業務を書面で発注している企業にとって、電子契約は極めて導入メリットがおおきいことがわかります。

電子契約のROIは通常のIT投資と比較にならないほど大きいことが多いんだ。

取引先のメリット

ここまで、サービスオーナー企業のROIを算定してきましたが、最後に取引先のメリットについてもふれておきます。
実は、請負契約を受注する取引先は、注文請書に印紙税をはっていますので、電子契約導入の直接的受益者となります。
弊社の電子契約サービスでは、弊社から取引先への直接の課金はなく、発注元企業が金額を設定して、取引先に課金することになります。
ですから、発注元企業は、取引先への発注額=印紙税削減メリットに応じた課金体系、課金金額を設定することで、より多くの取引先に参加していただくことが可能になります。

このしくみなら、たくさんの取引先に参加してもらえるわ。


電子契約導入のための20のヒント : 目次

1. 法令

1.1 電子帳簿保存法 : 電子契約で税務調査に対応できるのか?
1.2 電子帳簿保存法 : 電子契約と書面契約の混在に問題はないのか?
1.3 電子帳簿保存法 : スキャナ保存と電子契約
1.4 電子署名法 : 注文書や注文請書を本当に電子化して大丈夫か?
1.5 電子署名法 : 電子署名の証拠力
1.6 印紙税法 : 電子契約の場合、本当に印紙税を払わなくてよいのか?
1.7 下請法 : 下請法対応に関する注意点
1.8 建設業法 : 建設請負契約の電子化について

2. 技術

2.1 電子署名 : 電子署名・署名検証の作業イメージは?
2.2 電子署名 : 電子署名のしくみとはたらき
2.3 電子署名 : 電子証明書を選択する5つのチェックポイント
2.4 電子署名 : 長期署名について~10年を超える契約への対応~
2.5 タイムスタンプ : タイムスタンプの効果としくみ
2.6 EDI : 電子契約とEDIは何が違うのか?

3. 運用

3.1 導入目的 (ROI・購買プロセスの見える化) : 電子契約導入のためのROI算出方法
3.2 導入目的 (ROI・購買プロセスの見える化) : 電子契約による購買プロセスの見える化
3.3 機能 (契約書管理・カスタマイズ) : 電子契約の導入で契約書管理を劇的に改善
3.4 機能 (契約書管理・カスタマイズ) : 電子契約導入時に効果的なカスタマイズのご紹介
3.5 手順 (スモールスタート・取引先説明) : スモールスタートのすすめ
3.6 手順 (スモールスタート・取引先説明) : 取引先に参加してもらうにはどう説明すればいい?)

電子契約導入のための20のヒント
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