電子契約と書面契約の混在に問題はないのか? | 電子契約

電子契約と書面契約の混在に問題はないのか? | 電子契約

日鉄ソリューションズ株式会社
ワシントン州米国公認会計士 斎木康二

電子契約と書面契約の混在

電子契約を導入する場合でも、はじめからすべての契約を電子化するわけにはいきませんから、多くのケースで当初、電子契約と書面契約が混在することになります。また、たとえ全ての契約が電子契約になったとしても、万一のシステムトラブルなどを考えると、書面契約と電子契約の混在は想定しておく必要があります。

このような場合、電子ファイルの契約書と書面の契約書が混在するかたちで保管されるわけですから、税法上の問題や、運用上の問題の有無を検討しておく必要があります。今回はこの電子契約と書面契約の混在の問題について考えていきます。

今回は電子契約と書面契約の混在について、税法上の問題と運用上の問題の有無を考えてみましょう。

税法上の問題

まず、税法上の問題です。電子契約をおこなった場合の国税関係書類の保存方法については、電子帳簿保存法にその要件が明記されています。電子帳簿保存法への対応を念頭に、電子契約と書面契約の混在についてQA形式で検討してみましょう。

Q1.電子契約と書面契約が混在した場合、電子契約関連の書類は電子データで保管し、書面契約関連の書類は書面で保管してよいのか?

問題ありません。書面契約の書類を書面で保管できるのは当然です。また、電子契約を行った場合は電子帳簿保存法第10条の電子取引の取引データの保存方法について、一定の要件を満たせば、電子データのまま保存することが認められています。

Q2.電子帳簿保存法Q&A(国税庁)の問78の回答に、「電子取引の取引データの保存について、当該電子データをそのまま保存する方法と電子データを出力した書面を保存する方法との混在について」は、「規則性及び継続性なく保存方法が混在することは認められない」とあるが大丈夫か?

問78は、あくまで「電子取引をおこなった場合」についてのデータの保存方法について混在がみとめられないといっていまず。つまり、「電子取引をおこなった場合に、ある時は電子ファイルで保管し、ある時は書面で保管するのは、規則性及び継続性がない場合みとめられない」といっています。はじめから書面契約をおこなった文書の保管と電子取引をおこなった場合のデータ保管について言及しているわけではありません。

Q3.注文書/注文請書については電子取引を行い、電子データ保管したが、納品書、検収書、請求書は書面で交付し、書面で保管した。混在になるが問題か?

問題ありません。上記電子帳簿保存法Q&A(国税庁)の問78の回答にある「規則性、継続税」にあたるのでOKです。

Q4.ある取引先と電子契約をおこなっているが、年度の途中までは、契約書を出力して紙で保存していたが、途中から電子データのままで保存することにした。これは問題ないか

問題ありません。これも電子帳簿保存法Q&A(国税庁)の問78の回答にある「規則性、継続性」にあたるのでOKです。

こうしてみると、税法上 電子契約と書面契約を混在することはほとんど問題ないようです。実は電子帳簿保存法Q&A問78をみて「電子取引を行った場合の保存形式として電子ファイルと書面の混在禁止」を「電子契約と書面契約の混在禁止」と混同されてしまう方が多いので、念のため書いてみました。

電帳法Q&A問78の回答について、誤解する人が多いのね。この回答の正確な解釈が理解のポイントね。

運用上の問題

次に導入をご検討のお客様がよくご心配いただく運用上の2重化の問題です。 電子契約と書面契約が混在した場合、例えば発注側では、電子と書面の2種類の発注を行わなければならず、保管も2重化されます。受注側でもある取引先からの注文だけ電子契約で、他は従来通り書面契約になった場合同様の問題が生じます。
これでは電子契約を導入することでかえって不便になってしまうのでしょうか?

この問題について対処方法を確認するため、筆者は電子契約導入ユーザを数社に質問してみました。すると実務では全く問題になっていないことが大半でした。

ユーザからの回答はほとんど以下のようなものでした。 「電子契約を行う場合、実務作業がほとんどなくなってしまい、発注でも保管でもシステムが自動的に行うことになります。つまり、電子契約と書面契約の2重になるわけではなく、書面契約のうち電子化された部分に関する作業がなくなってしまう感覚で、全く問題はありません。」

ということで、案ずるより生むが易しの結論でした。

現場の受けとめ方は、実は運用の2重化というより、書面契約が削減された分楽になっただけという話であることが多いんだ。

結論

以上のように、電子契約と書面契約の混在については、大きな問題はみあたりません。安心して電子契約の導入に取り組んでみてください。弊社コンサルチームも支援させていただきます。


電子契約導入のための20のヒント : 目次

1. 法令

1.1 電子帳簿保存法 : 電子契約で税務調査に対応できるのか?
1.2 電子帳簿保存法 : 電子契約と書面契約の混在に問題はないのか?
1.3 電子帳簿保存法 : スキャナ保存と電子契約
1.4 電子署名法 : 注文書や注文請書を本当に電子化して大丈夫か?
1.5 電子署名法 : 電子署名の証拠力
1.6 印紙税法 : 電子契約の場合、本当に印紙税を払わなくてよいのか?
1.7 下請法 : 下請法対応に関する注意点
1.8 建設業法 : 建設請負契約の電子化について

2. 技術

2.1 電子署名 : 電子署名・署名検証の作業イメージは?
2.2 電子署名 : 電子署名のしくみとはたらき
2.3 電子署名 : 電子証明書を選択する5つのチェックポイント
2.4 電子署名 : 長期署名について~10年を超える契約への対応~
2.5 タイムスタンプ : タイムスタンプの効果としくみ
2.6 EDI : 電子契約とEDIは何が違うのか?

3. 運用

3.1 導入目的 (ROI・購買プロセスの見える化) : 電子契約導入のためのROI算出方法
3.2 導入目的 (ROI・購買プロセスの見える化) : 電子契約による購買プロセスの見える化
3.3 機能 (契約書管理・カスタマイズ) : 電子契約の導入で契約書管理を劇的に改善
3.4 機能 (契約書管理・カスタマイズ) : 電子契約導入時に効果的なカスタマイズのご紹介
3.5 手順 (スモールスタート・取引先説明) : スモールスタートのすすめ
3.6 手順 (スモールスタート・取引先説明) : 取引先に参加してもらうにはどう説明すればいい?)

電子契約導入のための20のヒント
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