DataRobot導入事例「株式会社オリエントコーポレーション」(後編)~現場に受け入れられたDataRobotの予測~

DataRobot導入事例「株式会社オリエントコーポレーション」(後編)~現場に受け入れられたDataRobotの予測~

幅広い資金ニーズに対応した金融商品・サービスを提供する株式会社オリエントコーポレーション(以下「オリコ」)は、DataRobotの本番導入後、既に現場の業務に実適用するフェーズに入っている。DataRobotに対する現場の印象・評価はどうだったのか。
オリコの伊丹氏(執行役員 デジタルイノベーション室担当(兼)デジタルイノベーション室長)、竹内氏(リスク管理グループ 与信部 課長代理)、疋田氏(業務統括グループ BI推進部 兼 デジタルイノベーション室 課長代理)に聞いた。

聞き手

原 正旭
原 正旭(はら まさあき)
NSSLCサービス株式会社
保守サービスセンター プロダクトサポート部
嶋田 学
嶋田 学(しまだ がく)
日鉄ソリューションズ株式会社
金融ソリューション事業本部 営業本部 営業第三部
狩野 慎一郎
狩野 慎一郎(かのう しんいちろう)
日鉄ソリューションズ株式会社
ITインフラソリューション事業本部 営業本部 デジタルプラットフォーム営業部 デジタルイノベーション営業推進グループ

DataRobotの費用対効果は与信モデルの改善だけで億単位の効果を期待できる

NSSOL 狩野

DataRobotの価格、費用対効果について教えてください。既存のツールがあるなかでDataRobotのような新しいものを入れようとすると上申の際に理由が必要になると思います。金額でいうと何億というインパクトがあるというお話をされたのか、あるいは定性的な効果があったというお話だったのか、上申のポイントはどこだったのでしょう。

株式会社オリエントコーポレーション
執行役員 デジタルイノベーション室担当(兼)デジタルイノベーション室長
伊丹 薫(いたみ かおる)氏 ※右
リスク管理グループ 与信部 課長代理
竹内 美耶子(たけうち みやこ)氏 ※左
オリコ 竹内

金額ですね。審査部門ではDataRobotを導入していた場合の想定効果として利益を算出しました。つまり融資して回収不能になった場合や本来は利益になるのに断ってしまった場合の合計を、DataRobotの予測によって利益が出せるのかを試算したのです。これは相当な金額的インパクトを出せました。それにBI推進部が作ったモデルでも億単位の効果を期待できるものがあり、こんなに効果があるならすぐに入れようという話になりました。

オリコ 伊丹

DataRobotの価格は一つの製品としてみると安くないと思いますが、こういった機能を持つ製品という視点ではなく、以前から解決したいと思っていた課題を解決できる“人”という視点でみました。当社内でデータサイエンティストや課題を解決できる人は不足しているがDataRobotを入れると解決できる。つまりDataRobotを入れる費用は、当社がデータ活用において抱えている課題を解決できる人を採用したり育成したりする費用とみなしていいんじゃないか、ということです。

10月に1か月間のPoCを実施し、12月までに評価をまとめてDataRobotを導入したいという意思を表明しました。代表取締役を含めた主要役員に個別に説明して回ったのですが、とてもスムーズに進み、年内には承認を取り付けることができました。1契約あたり5ユーザー(導入当時)だったので、5人のデータサイエンティストを雇うと考えると安い。こんな費用でデータサイエンティストは雇えませんよ、という説明もこの時しています。

導入後もし審査部門で期待した費用対効果が出なかったら、疋田のBI推進部でやっている“新しいチャレンジができる”という定性的効果で勝負しなければならないな、という覚悟はしていました。しかしそんなことをする必要がないほどに十分な定量的効果が出ています。DataRobot導入費用の数十倍の効果があったのではないでしょうか。

NSSOL 嶋田

実はグローバルでみても、DataRobotの価値にいち早く気づき、早い段階で導入が進んだのが金融業界でした。テーマにもよりますが数%の精度向上で大きな金額が動く業務領域も多いと聞いています。優秀なデータサイエンティストを雇ったとしても業務を覚えた頃には転職されてしまう可能性がありますが、DataRobotは辞めることなく文句も言わず働いてくれますからね。

DataRobot導入から1年、AIを使って予測する、ということに現場からの期待も高まっている

NSSOL 狩野

本番導入後の状況について教えてください。DataRobotの予測を業務適用した現場からの反応はいかがでしたか。

オリコ 伊丹

DataRobotを導入しようという意思をもって行動したのは竹内の与信部です。困ったのは、DataRobotのオーナーとなった与信部は与信以外の業務はスコープ外なので他部署の業務支援が難しいということです。BI推進部は全社のデータ活用と高度化がミッションですから、与信部ではなくBI推進部が持つべきだったかもしれません。

どちらがオーナーになるにせよ、既存の組織が新しいツールを入れただけ、と見られないよう全社でDataRobotを使うんだと旗振りしたり音頭をとったりする部署があった方がいいと思っていたのですが、タイミングよくデジタルイノベーション室ができました。そこに私が行くことになり、DataRobotに関する全社向けのアナウンスや、DataRobotを使いこなすための推進を担うオーナーとなりました。

デジタルイノベーション室が音頭をとり、生産性が上がる、効率が上がる、利益が上がる、と思えるものに絞って全社から案件を募ったところ50以上のテーマが集まりました。半分程度は実際にやろうということで進めています。重要なことは、データがないと進められない、ということです。ですからデータがあるかどうかどうかを確認する、データがあったなら上書きや消去されることがないようにする、もし無いなら蓄積するようにする、こういったことを事業部門には話しています。

株式会社オリエントコーポレーション
業務統括グループ BI推進部 兼 デジタルイノベーション室 課長代理
疋田 一将(ひきた かずまさ)氏
オリコ 疋田

DataRobotを導入する前は利益に直結するようなマーケティング系のモデルを多く作っていました。ところが今回集まった50案件をみると、BI推進部が今まで取り組んできたモデルとは違う領域の予測も多くあり、支店やセンターではこういう施策もやっていたんだな、という気付きがありました。たとえば受電量予測がそうです。

カードセンターの担当者が受電量を予測しているのですが、それはモデリングツールではなく表計算ソフトを使ってやっていました。こういったものに対してモデルを使って予測することを提案してもピンとこないのが「AIで予測しましょう」というと非常に食いつきがいいんです。

BI推進部は基本的にライン部を通して支店やセンターの担当者と連携するのですが、この受電量を予測する件についてもセンターの方から「AIで予測できることが楽しみです」といったやりとりがあります。DataRobotの予測についてすごく盛り上がっていて、私たちとしても頑張ろうと元気が湧いてきます。導入して1年以上経つと、やはり社内での理解、期待が広がっていると感じますね。「当センターでもやってほしい」という声も増えました。

NSSOL 原

サポートの視点からもそれを感じています。数年前は分析専門部署からのお問い合わせがほとんどでしたが、最近少しずつではあるものの、現場部門の方からの問い合わせが増えているんです。オリコ様の中でAIの裾野が広がっていると感じます。

NSSOL 狩野

現場の方を巻き込みながら、現場で行われている予測をDataRobotに置き換えていく、といった施策や方針があるのでしょうか。

オリコ 疋田

施策としてあるわけではないのですが、とあるセンターで受電量を予測することになると、同じライン部を経由して情報が伝わり「当センターでも予測してほしい」とリクエストが来る流れはありますね。

NSSOL 狩野

DataRobotを使った予測結果を支店やセンターの方に渡したり説明したりすることもあるのでしょうか。

オリコ 疋田

私自身は行きたいと思いながらまだ機会がありませんが、支店やセンターに行って説明しているメンバーによれば、反応はすごくいいそうです。もっと精度を上げてほしいという期待を込めた依頼を受けることも稀にありますが、おおむね元の予測よりも精度がかなり向上していて「もう十分です」と言われることもあります。支店やセンターの方はDataRobotを使えませんのでアプリを作るなどして予測を利用できるようにしています。さきほどの受電量予測も表計算ソフトで使えるツールに落とし込んで展開していますが、今までの予測と比較すると一段も二段も上の精度なので反応はすごくいいです。

NSSOL 狩野

表計算ソフトのプロみたいな方が現場にいて、予測も自分で全部やっているという場合にDataRobotをぶつけたときの反応は二極化するようです。オリコ様のように「すごいね、いいね」という場合もあれば「精度はいいけど得体が知れないから気味が悪い」という反応が返ってくる場合もあります。後者の場合は完全なホワイトボックスのモデルで理由を深く知りたいということのようです。

オリコ 疋田

さきほどの受電量予測でいえば、センターの担当者も“今の予測手法が本当にベストなのか?”と疑問を持ちながらやっていたという背景があります。DataRobotに対して得体が知れないと感じることがあったとしても、予測精度をみて説明を聞いて、それでも「得体が知れないから嫌です」という人は今のところいません。精度が上がれば本来の業務に集中できますからね。

レスポンスが早いNSSOLのDataRobotサポート

NSSOL 狩野

NSSOLに対する評価について教えてください。データサイエンティストやサポート、営業に対する期待や叱咤激励などもあればお願いします。

オリコ 竹内

データサイエンティストの方に対して初めはとっつきにくい印象があり「こんな初歩的な事を質問してもいいのかな」と思っていました。ところが質問したらすごく親身になって答えてくれますし、私たちのことをすごく心配してくれました。「こんなことがやりたいんですが」とリクエストすると、スケジュール調整や問題の洗い出しもすぐにご対応いただけて、私たち以上に問題に向き合ってくれましたね。

NSSOL 狩野

とっつきにくい点は失礼しました。弊社のデータサイエンティストにも色々なタイプがいますからね。サポートの方はいかがでしょう。

オリコ 竹内

ものすごく早いレスポンスで驚きました。問い合わせをしたら数分でレスポンスがあったり、緊急を要する案件で1時間以内に回答がほしいとリクエストしたら時間内に回答が来て、すごいなと思いましたね。お渡しできるデータが限られていることもあり、サポートするにも大変だと思いますが、きめ細かくフォローしていただいています。

NSSOL 原

質問が来たらすぐに返す、しっかりとヒアリングしてお客様のところで起きている事象を正確に把握する、といったことを心がけています。DataRobotは使ってこそ価値を分かっていただけるものなので、とにかく早いレスポンスときめ細かなサポートを心がけています。オリコ様から当社に開示することができないデータもありますが、実際のデータがなくても対応できるよう予め特徴量をお聞きし、サポート側で似たデータを用意して検証するようなこともしています。

オリコ 疋田

NSSOLの営業さんへの期待としては、DataRobotのユーザー企業同士が悩みを共有できる場の情報提供ですね。業種が異なっても課題は似通ってくると思うので、以前、DataRobotというツールを通じて課題や悩みを共有できる場があるといいですね、というリクエストを嶋田さんにしたところ、たまたまかもしれませんがすぐにご案内いただけました。今後も是非お願いしたいです。

NSSOL 狩野

NSSOLの“データ分析交流会”ですね。DataRobotをNSSOLから導入いただいたお客様を中心に、データ分析や活用をテーマにお客様同士がディスカッションできる場でした。

オリコ 伊丹

ここに来るまですべてが順調だったわけではなく、色々なトラブルや問題を乗り越えながらやってきました。私は一部介入しながらも客観的に見ていたのですが、NSSOLさんの対応が誠実でよかったというのが一番の感想です。何か問題が起きても「これは自分のせいではありません」ということなく、実現できないことに対する責任をしっかり意識してくれて、それを嶋田さんだけでなく関係者全員ですぐに対応してくれましたよね。さらに再発防止策もすぐに提示できるよう動いてくれた。とにかく誠実なアプローチだったので、これからもずっとお付き合いしたいと素直に思えました。

こういったこともあって、まず相談してみよう、こちらでどうしようか検討する暇があるなら嶋田さんに聞いてみよう、こう素直に思える関係を1年で構築できていることはすごくありがたいことです。DataRobotを起点としてオリコの成長を支援したいという意欲も感じられます。

NSSOL 嶋田

私は営業ですから、課題や何かできることがないかという視点を持ってオリコ様に接しています。伊丹様が頻繁に下さるリクエストを拾うことも多いですが、ほかの皆様にもよりきめ細かく対応できるようにしていきたいですね。

NSSOL 原

リクエストに関して言えば、 DataRobotっていい意味でスタートアップですから機能追加がすごく多いですし、要望を出しても割とすぐに対応してもらえます。こういう機能を追加してほしい、というリクエストを上げていただければすぐにDataRobot社と連携して対応しますよ。

オリコ 竹内

それは心強いですね。リクエストがあった際には是非よろしくお願いします。

DataRobot導入企業インタビュー

DataRobot導入事例
「株式会社オリエントコーポレーション」(前編)~DataRobotは競争のステージを変える~ 前編はこちら>

株式会社オリエントコーポレーション
株式会社オリエントコーポレーション
本 社:
東京都千代田区麹町5丁目2番地1
創 業:
1954年
資本金:
1,500億円(2019年3月31日現在)
従業員数(単体):
3,604人(2019年3月31日現在)
※記事内容は掲載当時のものとなっております。
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