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これからWindows10へ移行するなら仮想デスクトップ(DaaS | VDI)がベストな理由
【第2回】Windows10への移行は、その後の運用を見越した体制作りが必要2018.10.16
M³DaaS
※本記事は2018年10月16日時点の情報を元に構成しています。
Windows 7 の延長セキュリティプログラムの発表
Microsoftは米国時間9月6日、有料の Windows 7 延長セキュリティ更新プログラム (ESU) を 2023 年 1 月まで提供することを発表した。
Windows 7 ESUの対象はWindows 7 Professional と Windows 7 Enterprise のボリューム ライセンスユーザー。販売はデバイス単位で1年ごとに価格が上昇する。Windowsソフトウェア アシュアランス、Windows 10 Enterprise、 Windows 10 Educationのサブスクリプションを利用しているなら割引が提供される。また、Windows 7 ESUが適用されたデバイスの365 ProPlus は 2023 年 1 月までサポートされる。
Windows 7 延長セキュリティ更新プログラム (ESU)は有償であり、本記事の作成時点で詳細が公開されておらず、ESUを適用することによる影響、メリット/デメリットなども明らかではないため、本記事では2020年1月14日の延長サポート終了を前提にした移行プロセスについて解説する。
出典:Microsoftウェブサイト https://blogs.windows.com/japan/2018/09/07/helping-customers-shift-to-a-modern-desktop/#mTAMs2UdKKsRCgHU.97
Windows10への移行は、これまでのWindowsとは一線を画しており「移行すれば終わり」ではない。導入後も短い期間で、大規模アップデートに追従していく必要がある。つまり毎回、アプリケーションの互換性検証などの対応をしなければならなくなるのだ。最初の移行の時点で、移行後の運用も視野に入れた体制作りが求められる。
連載の第2回となる本稿では、Windows10への移行がどのような手順で実施され、移行後にはどういった運用をしていく必要があるのか、解説していく。
Windows10で用意されている2つのサービスチャネル
まず移行を検討する前提として、Windows10には、以下の2つのサービスチャネルが用意されていることを知っておきたい。用途ごとに更新サイクルやサポート期限を分けたチャネルであり、移行する際はどちらかを選ぶことになる。
SAC(Semi-Annual Channel)
OA業務を行うユーザー向けの一般的なチャネル。 機能更新プログラム(Feature Update、以下FU)が半年に一度、品質更新プログラム(Quality Update、以下QU)が月に一度というサイクルで提供される。
また、1バージョンあたりのサポート期間は18カ月(早期導入のためにターゲット指定してリリースされるSemi-Annual Channel Targetの4カ月を含む)に設定されている。
LTSC(Long Term Servicing Channel)
特定用途に向けてリリースされているチャネルで、医療装置や ATM 機器などを制御する (通常、Office を実行しない)特殊デバイスで使用する設計となっている。
特定のビルドを固定し、機能更新プログラムは提供されない。提供形態は従来と同様で、新たなバージョンが2~3年ごとにリリースされ、サポート期間は10年保証される。その間はセキュリティ向上などの品質更新プログラムが提供される。
ただし、リリース後の新たなチップセットへの対応はないため、最新バージョンのリリース時点で使用したいチップセットが該当しない場合は、LTSCを利用することはできない。
このように2つのチャネルがあるが、MicrosoftはSACを推奨しており、LTSCに関しては、一般的なユーザーが普段使用するような端末での利用が想定されていない。そのためほとんどの企業では、SACを選択することになるだろう。
つまり、SACは、半年ごとに新しいFUがリリースされ、サポート期限内の18カ月以内に移行して、また次のFUの移行を準備しなければならないという、短期間のうちに繰り返されるライフサイクルに追従していく必要があるということだ。
Windows10への移行は、このSAC追従が大きなポイントとなる。それでは次に、SAC使用を前提とした上で、具体的な移行にあたってのフェーズを、計画、導入、適用の3つに分けてお伝えしていきたい。
Windows10移行の「計画」フェーズ
Windows10へ移行するにあたって、詳細な計画を立てることはプロジェクトの成否に直結する。
まずは何よりも最初に、導入する予定のFUバージョンの機能について、情報を収集、分析することが重要になる。これにより、全体的な影響度を確認するのだ。
その内容をもとにPoC(概念検証)を行っていく。そもそもアプリケーションが動作するのか、すぐにわかる不具合はないかといった簡易検証を行うことで、移行計画の全体像を明確にするのである。
その中で、本格的に検証していくべき事項を洗い出していき、OSの設計を行っていく。
ここまできたら、さらに具体的に、どの部署の端末にどの程度の影響があるのかを確認し、詳しい検証をどうやって行うかの計画を作成していく。
検証方針が固まることで人員の数や期間などを決定することができ、見積りなども作成できるようになるだろう。
Windows10移行の「導入」フェーズ
計画を実行に移す際に注意したいのがマスターイメージ(OS)の設計だ。
先述したように、SACは半年ごとのアップデートに追従していかなければならず、そのたびにマスターイメージを作り直さなければならない。通常、マスターイメージは使用するアプリケーションが違う部署ごと、さらには端末の機種ごとに作られていたが、それだと大量のマスターイメージをたびたび作り直すことになる。こうした事態を防ぐために、マスターイメージは可能な限りシンプルに設計し、大多数の端末にそのまま展開できるものにしておきたい。
マスターイメージを設計したら、テスト用のマスターイメージPCを用意し、FUを適用して動作確認をしていく。
そこをクリアしたら、パイロット展開、アプリケーション動作テスト、改修を繰り返しながら、最終的なマスターイメージを作り上げることになる。
これらの検証を終え、マスターイメージができあがったら、各クライアント端末にそれを展開し、各部署ごとに必要なアプリケーションソフトのインストール、メモリーやハードディスクの増設、プリンタやネットワークの設定といったキッティングを行う。
なお端末を一新する際には旧デバイスから大量のデータ移行も必要となる。
Windows10移行の「適用」フェーズ
導入が済んだらそれで終わりではない。運用後にテストでは見つからなかった不具合が見つかることもある。
それが原因で業務が滞ってしまわないようにOSの切り戻しができるように準備をしておきたい。
またSACに追従していくためには、移行時のタスク量ほどではないにしても同じように計画・導入・適用のフェーズを繰り返し行っていく必要がある。
SAC追従のために効率的な方針を策定し、運用していかなければならない。
以上、今回はWindows10の特徴と、具体的な移行タスクの3つのフェーズについて解説した。移行後の運用に備えて、マスターイメージのシンプル化などを備えていかなければならないことを、ご理解いただけたのではないかと思う。
次回となる第3回では、移行後のSAC追従について詳しく見ていきたい。
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