政府がSociety 5.0や働き方改革の一環として推進していたテレワーク(リモートワーク)は、皮肉にも世界的に影響を与えた新型コロナウイルスのパンデミックによって一気に導入が進みました。しかし一方で、さまざまな理由でテレワークを導入できないケースも多くあります。
以前からテレワーク環境を準備していなかった企業などでは、次のような課題が挙げられます。
・社内PCを持ち帰るしか方法がなく、情報漏えいのリスクが高い ・社内LANに接続しないと業務ができない ・新たにテレワーク環境を構築するには導入予算やリソースが足りない ・テレワーク環境の構築には時間がかかる
また、外出時や出張時など一時的なテレワークのためにVPN環境を構築している場合でも、次のような課題があります。
・VPNを利用できる端末が限られており、普段使用しているPCでは使えない ・VPNを利用すると、社内で仕事をするよりもPCの動作が重くなる ・想定以上の人数がVPNを利用することで、会社のインターネットやWANの回線を圧迫する可能性がある ・機密性の高いファイルが端末にコピーされることが、情報漏洩につながらないか不安がある
こうした課題を解決する方法の一つに、企業内で普段利用しているPCに社外からアクセスし、遠隔操作により使用するリモートアクセス方式があります。また、これをVDIによって実現する「M³DaaS(エムキューブダース)リモートPCアクセスサービス」を活用すると、使い慣れたPCにアクセスできるセキュアかつ高パフォーマンスなリモートアクセス環境を、最短1カ月の短期で、しかも安価に実現できます。
「M³DaaSリモートPCアクセスサービス」のシステム構成
日鉄ソリューションズが提供する「M³DaaSリモートPCアクセスサービス」は、クラウドサービス「Citrix Cloud」を活用したリモートアクセスサービスです。ユーザーは「Citrix Cloud」を経由して社内にあるPCにアクセスして操作します。マウスやキーボードの操作だけをPCに送り、実行した結果の画面を返す「画面転送方式」なので、ユーザー側の端末を選びません。個人のPCやタブレットでも使用できます。
「M³DaaSリモートPCアクセスサービス」には、次の5つの特徴があります。
(1)少ない構築範囲で早期、安価に導入できる リモートアクセスサービスはオンプレミスのVDIと比較されることが多いのですが、オンプレミスでVDI基盤を導入するためには、ゲートウェイや認証サーバー、ブローカー、ライセンス管理を行う専用機器を構築し、さらにVDI基盤用のサーバーも必要になります。
「M³DaaSリモートPCアクセスサービス」では、これらのほとんどを「Citrix Cloud」でカバーし、オンプレミスには最小2台のCloud Connectorを構築し、そしてリモートアクセスに使用するPCにCitrix VDA(Virtual Delivery Agent)導入するだけで済みます。最短1カ月で安価に導入することが可能です。
短期で安価にテレワーク環境を構築
(2)ネットワーク使用量がRDP(リモートデスクトッププロトコル)の20分の1に リモートアクセスを利用する場合、その転送速度や通信帯域への影響が危惧されます。「M³DaaSリモートPCアクセスサービス」では、VDIに特化した独自のプロトコルを採用することで、ネットワーク使用量を抑えることができます。
実測結果では、リモートアクセスで一般的に使用される、WindowsのRDPという画面転送プロトコルでは、ブラウザの上下スクロールで581kbps、4.54MBのデータが送信されました。一方、「M³DaaSリモートPCアクセスサービス」では24kbps、367KBと20分の1以下のデータ量でした。これにより多数のユーザーがアクセスした場合でも、通信帯域を圧迫せず、快適な操作性を提供します。
少ないネットワーク使用量で快適な操作
(3)アクセス認証や利用内容を柔軟に設定できる 一般的なリモートアクセスでは、情報漏えいなどセキュリティに懸念があるとよく言われます。「M³DaaSリモートPCアクセスサービス」では、IDとパスワードに加えて、iPhoneやAndroidなどのスマートデバイスのワンタイムパスワード(OTP)を利用した多要素認証が可能です。
また、リモートアクセス時のポリシーは柔軟に設定できます。社外から会社PCへ接続する場合に限り、USB接続やスクリーンショット、クリップボード(コピー)などを禁止できるほか、例えばファイルはコピーできないがテキストはコピーできるなど、利用用途に応じてポリシーの定義と条件を組み合わせセキュアな環境を実現できます。
複数のセキュリティ機能を実装
(4)BCP対策としても有効 リモートアクセスは、自然災害発生時のBCP(事業継続計画)への対策としても有効です。VPNで対策する場合は、想定災害範囲や復旧時間、ユーザー数など明確な前提を設定し、それを満たす要件で導入しますが、例えば外出自粛が解除されて出社する従業員が増えた際には、フルスペックでのVPNを維持することになってしまい、無駄なコストが発生してしまいます。
「M³DaaSリモートPCアクセスサービス」はクラウドサービスをベースとしているため、ニーズに合わせてリソースを柔軟に増減できるので、コストを最適化できます。さらに、リモートPCの電源管理も可能になるので、PCの電源を入れるためだけに出社するようなことも避けられます。
利用状況に応じた無駄のないBCP対策
(5)ハイブリッド構成にも対応 PCの使い方は、社内でも部門によって異なっています。例えば経理部門や人事部門、あるいはCADを扱う設計部門などではデスクトップPCを使用し、営業部門や企画部門などはノートPCが中心というケースが多いでしょう。前者は社内では従来通りデスクトップPCを利用し、テレワークでは費用を抑えてセキュアに業務を進められる「M³DaaSリモートPCアクセスサービス」を利用するのが最適です。一方、後者はDaaSやVDIに移行することで、テレワークに限らず出張や外出時でもセキュアで利便性の高い環境を利用できます。
このように、PCの使い方により適切なテレワーク環境は異なりますが、「M³DaaSリモートPCアクセスサービス」を導入いただければ、「Citrix Cloud」を共通管理基盤としたオンプレミスVDIや、Azureなどの他のクラウドサービスを利用したDaaS環境の構築が可能となります。これにより、ユーザーの利用に応じてリモートPCとDaaS/VDIを使い分けるハイブリッド構成の管理も容易に実現できます。
必要に応じたハイブリッド構成を実現
「M³DaaSリモートPCアクセスサービス」は、新たな端末を用意することなく使い慣れたPCを継続して利用でき、VDI用に最適化された画面転送プロトコルによってセキュアで高パフォーマンスのリモートアクセス環境を構築できます。また、クラウドサービス「Citrix Cloud」を活用することで構築は最小限で済むため、最短1カ月の短期間で柔軟な環境を実現します。
ワクチン接種も始まりコロナ禍は収束しつつあるように見えますが、海外では複数の変異株が登場し感染者が激増するケースもあり、まだまだ状況は予断を許しません。しかも、たとえコロナ禍が収束しても2019年以前の状況には戻らず、"ニューノーマル"の日常がやってくると言われています。ニューノーマルでは、テレワークは標準的な働き方のひとつになるでしょう。
今後は、政府が推進するSociety 5.0や働き方改革に対応したニューノーマルを見据えて、柔軟で快適なテレワーク環境が求められます。それには、コストメリットが高く、既存のPCを活用しつつ必要に応じてユーザー数を増減できる「M³DaaSリモートPCアクセスサービス」のようなサービスが最適です。
特に日鉄ソリューションズは「8年連続国内DaaS市場No.1(*)」のノウハウを蓄積しており、徹底したユーザー目線により適切なご提案と最適なサポートを提供します。ぜひご検討ください。
*出典 株式会社アイ・ティ・アール 「ITR Market View:クラウド・コンピューティング市場2021」より DaaS市場:ベンダー別売上金額シェア(2013年度~2019年度実績値および2020年度予測値)
日鉄ソリューションズ株式会社 ITインフラソリューション事業本部 デジタルプラットフォーム事業部 デジタルワークプレース部 小林 峻也