運用要員が要らない?!マスターイメージ更新の自動化とは

2023.07.31
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運用要員が要らない?!マスターイメージ更新の自動化とは

マスターイメージとは

マスターイメージとは、OSやアプリケーションのインストール、各種設定が行われた仮想デスクトップイメージであり、仮想デスクトップを展開するためのテンプレートです。ゴールドイメージやゴールデンイメージとも呼ばれます。 VDI環境において、マスターイメージの運用は重要な業務の一つです。そして、VDI運用者から最も多く寄せられる相談は「マスターイメージの更新に伴う負荷が高い」という内容です。本記事では、なぜマスターイメージの更新は負荷が高いのかを解説し、その負荷を削減する方法をご紹介します。

なぜマスターイメージの更新は負荷が高いのか

VDIは、VMware Horizon、Citrix Virtual Apps and Desktops、Azure Virtual Desktopなど、さまざまな製品で実現できます。ただし、基本的にどの製品でも運用時にマスターイメージの更新が必要です。この更新作業が、VDI導入時の想定より負荷が高くなってしまう場合があります。その原因として、主に3つが挙げられます。

1. 定期的なマスターイメージの更新

ウイルス定義ファイルの更新やウイルスチェック、Windows Updateの適用などのために、週次や月次でマスターイメージを更新します。この定期的な更新は通常、運用設計で定義されています。しかし、適用した更新プログラムの不具合などが原因で「更新のやり直し」が必要になることがあり、想定外の作業のため負荷が高くなります。

2. 不定期なマスターイメージの更新

新規アプリケーションのインストールや設定変更が必要な場合は、不定期なマスターイメージの更新が必要です。この作業において、マスターイメージの更新後に不具合が発生すると、マスターイメージの「ロールバック(切戻し)」が必要になることがあり、想定外の作業のため負荷が高くなります。

3. マスターイメージ数の増加

VDIの導入後、新たな部門の設立や異なるアプリケーションの利用など、さまざまな要因で異なるマスターイメージが必要になることがあります。マスターイメージ数の増加は、そのまま更新作業の負荷の増加につながります。

運用スケジュールで想定していない「更新のやり直し」や「切戻し(ロールバック)」、これらの作業でオペレーションミスが発生してしまった場合は、暫定対処と再発防止策の策定が必要となります。結果、「マスターイメージの更新に伴う負荷が高い」となってしまうのです。

自動化スクリプトで運用負荷を40%削減

当社の仮想デスクトップサービス「M³DaaS(エムキューブダース)」をご利用のお客様には、当社が作成したマスターイメージの更新の自動化スクリプトを提供して、運用負荷を削減することを支援しています。あるお客様では2万ユーザー規模のVDI環境の運用担当者を40%(10名⇒6名)削減することができました。
この成功のポイントは、更新後のマスターイメージの動作確認とユーザーへの展開を自動化のサイクルに組み込むことで、シームレスな更新・確認・展開を実現している点です。具体的には、以下の処理を自動化しました。

1. 定期的なマスターイメージの更新を自動化

ウイルス定義ファイルの更新やウイルスチェック、Windows Updateの適用をコマンドで実行できる環境を整え、週次や月次の定期的な更新を完全に自動化しました。

2. 更新後のマスターイメージの確認を自動化

マスターイメージの更新後は、正常に利用できることを確認するための動作確認が必要です。この動作確認の内容を定義し、自動化することで効率化を図りました。また、動作確認で問題が発生した場合のロールバック処理も一部を自動化することで、対応を迅速化しました。

3. 更新後のマスターイメージのエンドユーザへの展開を自動化

動作確認の完了後、更新後のマスターイメージをエンドユーザに展開します。この処理では、仮想デスクトップが使用するマスターイメージの変更(差し替え)が行われますが、この作業を自動化しました。また、展開の完了には仮想デスクトップの再起動が必要ですが、定期的な週次再起動も自動化しました。

マスターイメージの更新の流れと自動化の効果

マスターイメージの更新の流れと自動化の効果

マスターイメージの更新の負荷と自動化の効果

項目 負荷が高い理由 自動化で効率化を実現後
定期的なマスターイメージの更新 ・定期的に作業
・更新のやり直しが発生
・定期的に自動更新
・更新のやり直しを簡単に実行可能
不定期なマスターイメージの更新 ・不定期に作業
・更新のロールバックが発生
(・不定期な作業は自動化不可)
・ロールバック処理を一部自動化
マスターイメージ数の増加 ・マスターイメージ数に比例して作業が増える ・大半が自動化されているため影響が小さい

まとめ

今回は、マスターイメージの更新に伴う運用負荷が高い理由と、その対策として自動化が有効であることをご紹介しました。当社の仮想デスクトップサービス「M³DaaS(エムキューブダース)」は、VDIのマスターイメージの自動化や運用面を含めたパッケージを提供しています。また、DaaS(Desktop as a Service)やAzure Virtual Desktopによるソリューションもご提供しています。大規模な環境のお客様にもご利用いただいており、高度なマスター管理を実現することができます。

様々な活用事例を含め、詳細をご紹介していますので、ぜひ以下のリンクからご確認ください。

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