AWSへの移行において重要な「7R」フレームワークについて

2023.06.27
マルチクラウド 基礎 AWS クラウド活用 クラウド移行
AWSへの移行において重要な「7R」フレームワークについて

AWSへの移行は、多くのメリットがありますが、移行計画を正確かつ効率的に実行するために、7Rというフレームワークが大切とされています。以下では、その7Rについて詳しく解説します。

1. Relocate(リロケート)

オンプレミスで稼働していたVMwareなどの仮想環境を、VMware Cloud on AWSに移行します。既存のアプリケーション・データベースには一切変更を加えずに、移行する方法です。
移行時間を最小化し、ハードウェアの老朽化対応から解放されますが、既存システムの複雑性などはそのまま継承してしまいます。

2. Rehost(リホスト)

リホストは、既存のアプリケーションをAWS上で実行する移行方法です。クラウドの拡張性や可用性を享受できますが、既存システムの複雑性などはそのまま継承してしまいます。

3. Replatform(リプラットフォーム)

リプラットフォームは、部分的にアプリケーションやデータベースを変更してクラウドベースのサービスに移行する方法です。クラウドの拡張性や可用性を享受でき、移行完了後には運用や保守のコスト低減につながりますが、反面、移行コストやテスト工数は比較的増加していく傾向があります。

4. Refactor(リファクタ)

リファクタは、アプリケーションをクラウドに最適化するために、アプリケーションの一部または全体を再設計して移行する方法です。この方法により、アプリケーションのクラウド向けのアーキテクチャを設計することができ、スケーラビリティ、俊敏性などのクラウドの利点を最大限に活用できます。サーバレスなどを活用することで、サーバレイヤの運用から解放されますが、移行コストや手数と工数は増加します。

5. Repurchase(リパーチェス)

リパーチェスは、既存のアプリケーションを別のSaaSに移行する方法です。

6. Retain(リテイン)

リテインは、ビジネス上もしくは技術的にAWSに移行できないシステムやアプリケーションを保持し続けることを指します。

7. Retire(リタイア)

リタイアは、不要と判断した古いシステムを処分することを指します。

まとめ

7Rフレームワークは、AWSへの移行計画において様々なメリットを提供することができます。どの方式を採用するかは、企業のニーズによって異なります。情報収集と適切な分析を行って、最適な移行方法を選択することが極めて重要です。

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日鉄ソリューションズ株式会社のシステム研究開発センター(シス研)に所属する原です。普段はクラウドネイティブにおける開発・運用技術の研究開発をしています。今回から複数回にわたり、クラウドネイティブの基礎や、クラウドネイティブを推進する上で重要な機能であるオブザーバビリティという概念について幅広く発信していきたいと思います。第1回目はクラウドネイティブが生まれた背景およびクラウドネイティブとは何か?について解説をしていきます。