皆さん、こんにちは。ITサービス&エンジニアリング事業本部(以下、ITS&E)クラウドプラットフォーム事業部の五味 なぎさです。私が所属する部署はクラウドサービス事業の拡大をミッションとしており、当社が提供するマネージドクラウドサービスabsonne(アブソンヌ)の企画・運営・提案・導入や、Amazon Web Services(以下、AWS)、Microsoft Azure(以下、Azure)、Google Cloud、Oracle Cloud Infrastructure(以下、OCI)等のパブリッククラウドサービスを利用したシステムの提案・設計・導入を推進しています。
さて、みなさんは日頃の業務でどれほど生成AIを活用していますか?最近では、AWSを利用する際にも生成AIの活用が当たり前になりつつあります。そこで今回は、AWS技術者の皆さんに向けて、生成AIを活用したアシスタント「Amazon Q Developer」をご紹介したいと思います。
「Amazon Q Developer」は、生成AIを活用したアシスタントツールです。コードの自動生成やレビュー、AWSサービスの最適化・サポート、自然言語での問い合わせ対応、運用上のインシデント調査、さらにワークロードの変換まで、多岐にわたる機能を提供してくれます。
導入方法としては、Visual Studio CodeなどのIDEにプラグインとして組み込むか、MacやLinux環境向けのコマンドラインツールとしてインストールすることが可能です※。さらに、最近では日本語対応も追加され、より使いやすい環境が整っています。
また、Management Console上でもAmazon Q Developerが利用できますが、現状(2025年5月5日現在)はまだ日本語化対応しておらず(近日対応予定とのこと)、今回は記載を割愛します。
※ソフトウェア開発生成 AI アシスタント – Amazon Q Developer – AWS
Amazon Q Developerの料金プランには「無料利用枠」と「Amazon Developer Pro」の2種類があります。Proプランは1ユーザーあたり月額19USD(2025年5月7日現在)となっており、無料枠でも一通りの機能を試すことが可能です。ただし、無料枠には月ごとの実行回数などに制限があるため、より幅広い活用を検討される場合はProプランを選択することをおすすめします。
ここからはIDE(Visual Studio Code)、コマンドライン(WSL2(Ubuntu))への導入方法と、簡単な利用方法をご紹介していきます。「導入方法」→「利用方法」の順でそれぞれご説明していきますので、ご自身で実践する際の参考にしてみてください。
なお、今回ご紹介する手順は、Amazon Q Developerの無料利用枠を利用し、Builder IDでログインする手順となります。Amazon Developer Proを利用する場合は、別途IAM Identity Centerの利用が必要になりますのでご注意ください。
今回はWindows上のVisual Studio Codeに導入します。他のIDEを導入する場合は、以下をご参照ください。
また、以下を実行する際は前提としてVisual Studio Code(以降、VS Code)が必要になるため、あらかじめインストールをお願いします。
VS Code向けにはAmazon Q向けの拡張機能が準備されているため、まずは拡張機能に追加します。
拡張機能を追加するとVS Codeの左部にAmazon Qのアイコンが追加されるのでクリックします。
Sign-in optionを聞かれるため、利用アカウントを選択し、「Continue」をクリックします。クリック後Builder IDの認証を行うwebページの起動を問うポップアップが表示されるので、「Open」を選択します。
表示された画面でBuilder ID※の認証を行ってください。Builder IDが未作成の場合は、新規に作成することが可能です。
※Builder IDは、Amazon CodeCatalyst、Amazon Q Developer、AWS トレーニング Certificationなどの一部のツールやサービスへのアクセスを提供する個人プロファイルです。
Builder IDでの認証が終わると以下の画面が出力され、VS Code上でAmazon Q Developerが利用可能になります。
画面下部に表示される以下の画面に入力することで利用できます。
例えば、開いているワークスペースに含まれるドキュメントについて聞いてみると、以下のように内容を説明してくれます。(利用している環境のワークスペース上には、AWS Network Firewallのハンズオン用のCloudFormationコードが配置してあります)
また、他の生成AIツールと同様に一般的な質問やAWSに関する質問にも回答してくれます。
以下のようにチャット欄に“/doc”と入力すると
ドキュメント生成モードに移行します。
いくつか確認が入るので選択していくと、最終的に以下のようなドキュメントが生成されます。
この時点で出力されるドキュメントは英語でしたが、チャット機能で日本語化を依頼すると、日本語へも変換してくれました。
今回はチャット機能とドキュメント生成機能についてご紹介しましたが、他にもチャット機能から様々な機能を呼び出せるため、興味のある方は以下をご参照ください。
今回はWindows上のWSL2(Ubuntu)に導入します。他のLinux環境やMacに導入する場合以下をご参照ください。
また、WSL2を利用したLinux環境の導入方法については記載しませんので、あらかじめAmazon Q Developer CLIに対応したバージョンのご用意をお願いします。
Ubuntuのコマンドライン用にAmazon Qの最新版をダウンロードします。
$ wget https://desktop-release.q.us-east-1.amazonaws.com/latest/amazon-q.deb
パッケージをインストールします。
$ sudo apt-get install -f$ sudo dpkg -i amazon-q.deb
コマンドライン用にAmazon Qを起動します。
$ q
上記を入力すると初回はBuilder IDの認証を求められるため、IDEの手順と同じように認証を行います。上記が完了するとWSL2上からAmazon Q Developer CLIが利用可能になります。
$ q chat
OSのプロンプトに対し上記入力することでAmazon q Developer CLIがチャットモードとして起動します。(導入方法の手順で既に“q”が起動している場合は不要)
IDEのチャットモード同様、一般的な質問やAWSに関する質問に回答してくれますが、AWS CLI導入済みかつアクセス権限設定済みの環境であれば、以下のように該当アカウントに対する質問にも答えてくれます。
また、今回は試していませんが、上記と同じような形で、リソース作成等の操作もAmazon Q Developer CLI経由で行うことができます。
直近のアップデートで、Amazon Q Developer CLIがMCPに対応しました。MCPはアプリケーションがLLMとシームレスに統合する方法を標準化するオープンプロトコルであり、LLMを利用するアプリケーション側で呼び出し対象のMCP Serverを設定することにより、LLMの応答への追加のコンテキストとして利用できます。AWSとしても、「AWS Documentation MCP Server」、「AWS Diagram MCP Server」等様々なMCP Serverの提供を行っており※、Amazon Q Developer CLIからAWSが提供するMCP Serverを利用することももちろん可能です。
※GitHub - awslabs/mcp: AWS MCP Servers — specialized MCP servers that bring AWS best practices directly to your development workflow
設定方法としては、“ ~/.aws/amazonq/mcp.json”に指定のフォーマットで接続したいMCP Serverの設定を記入し、保存すればOKです。具体的な記載方法は以下のページをご参照ください。
今回私は「AWS Documentation MCP Server」を登録した状態でq chatを利用しましたが、以下のように「awslabsaws_documentation_mcp_server」を利用して検索が行われていることが分かります。
今回は「AWS Documentation MCP Server」を利用した例を掲載しましたが、他にも「AWS Diagram MCP Server」を利用したアーキテクチャ図の生成、「Cost Analysis MCP Server」を利用したコスト分析やレポート生成、「AWS CDK MCP Server」、「AWS Terraform MCP Server」を利用したIaCコードのレビューやセキュリティチェックなどを行うことができます。興味のある方は、上述したAWSのMCP Serverに関するGitHubページをご参照ください。また、AWS以外のMCP Serverの利用も可能です。
いかがでしたでしょうか?今回は生成AIを活用したアシスタント「Amazon Q Developer」についてご紹介しました。業務をする上で、生成AIの利用はもはや避けられない時代になっています。効果的に活用し、業務の効率化を進めていきましょう。今回の記事が皆様の何らかのお力になると嬉しいです。今後も最新の技術情報をお届けしてまいりますので、ぜひご期待ください。
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