Oracle Cloud Infrastructure(OCI)とは?特長やメリットをわかりやすく解説

2025.04.23
Oracle 基礎 クラウド活用 コスト削減
Oracle Cloud Infrastructure(OCI)とは?特長やメリットをわかりやすく解説

クラウドコンピューティングの分野で、Oracle Cloudは着実に市場シェアを拡大しています。エンタープライズ向けデータベースのデファクトスタンダードであるオラクル社が提供するこのクラウドサービスは、多くの企業にとって魅力的な選択肢となっています。しかし、なかなか情報が少なく、AWSやAzureといった他のパブリッククラウドサービスとの違いが気になる方も多いのではないでしょうか。この記事では、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)の概要、特徴、メリットについて詳しく紹介します。

Oracle Cloudとは?

Oracle Cloudはオラクル社が提供するクラウドコンピューティングプラットフォームで、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloudと並ぶ主要なクラウドサービスです。Oracle Cloudは、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)とOracle Cloud Applicationsの2つの主要コンポーネントで構成されています。

OCI(Oracle Cloud Infrastructure)

コンピュート、ストレージ、ネットワーク、データベース、セキュリティなどの基本的なインフラストラクチャを提供するIaaS/PaaSです。

Oracle Cloud Applications

企業向けの多様なクラウドベースアプリケーションスイートを提供するSaaSです。

Oracle Cloudは主にエンタープライズシステムをターゲットとしており、Oracle Databaseなどのオラクル製品を使用する企業や、高性能かつセキュアなクラウド環境を求める企業にとって有力な選択肢です。ユースケースとしては、ミッションクリティカルな基幹システムのクラウド移行や大規模データベースの運用が挙げられます。また、高性能コンピューティングが必要なワークロード、AIや機械学習の開発・運用にも最適なサービスです。

Oracle Cloud Infrastructure(OCI)のメリット

Oracle CloudのインフラストラクチャであるOCIの特長と主なメリットを紹介します。

コスト効率

OCIはIaaSレイヤーにおける高いコストパフォーマンスが特長です。大規模なインスタンスや高いIOPSが求められるシステムで特にその効果を発揮します。「フレキシブル・シェイプ」という考え方により、CPU/メモリリソースを1コア/1GB単位で柔軟にカスタマイズでき、無駄のないインスタンス構成が可能です。
特に他のクラウドサービスとの差が大きいのはネットワークのデータ転送コストで、閉域網接続(FastConnect)をご利用いただく場合はインバウンド、アウトバウンド共に無償です。インターネット接続は最初の10TBまで無償で、超過分についても低価格でご利用いただけます。
また、既存のオラクルライセンスをクラウド環境に持ち込むBYOL(Bring Your Own License)を利用することで、既存の投資を無駄にすることなく、クラウド移行のコストを抑えられます。
これらの要件が組み合わさると、トータルで非常に高いコストメリットを発揮します。

外部へのデータ転送コスト例
外部へのデータ転送コスト例

パフォーマンス

OCIはミッションクリティカルなエンタープライズ・ワークロードに対応する高性能なインフラ基盤です。高速なハードウェア、高いIOPS性能のストレージを標準採用しています。ネットワークについては、フラットかつノンブロッキングなSpine&Leaf型構成やネットワーク仮想化のオーバーヘッドをサーバー外にオフロードすることにより、オンプレミス環境に劣らない低遅延のネットワーク環境を提供します。また、Oracle Databaseに最適化されたExadataをクラウドで利用でき、データベース基盤としての圧倒的なパフォーマンスを備えています。
その他、最新のGPUを利用可能な高性能コンピューティング環境も強みの一つであり、LLM開発・トレーニング開発や大規模シミュレーションなどの高負荷ワークロードにも最適です。

セキュリティ

Oracle Cloudは自らを「第2世代クラウド」と呼び、設計段階から堅牢なセキュリティ対策を組み込んでいます。インフラストラクチャからアプリケーションまで、すべてのレイヤーで継続的かつシームレスな保護を実現しています。また、データおよびネットワーク通信の暗号化等、多くのセキュリティ機能がサービスの一部として無償で提供されています。 そのセキュリティの高さは、政府が運営する「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)」に対応していることからもわかります。ISMAPに対応しているということは、政府が求めるセキュリティ要件を満たしているということです。つまり、政府機関などの機密性の高いシステムにも対応できるほどの高セキュリティである、ということです。

可用性と拡張性

世界中に展開されたデータセンターネットワークにより、グローバルな可用性を確保しています。1つの国に2つ以上のリージョンを設置することを基本としていますので、日本には東京と大阪の2つのリージョンがあり、国内環境でのDR環境構築が可能です。需要の変化に応じて柔軟にリソースを拡張できる拡張性も魅力です。

サービスレベル

お客様に安心してサービスを利用いただくために、可用性だけでなく、性能面、管理面にもSLA(Service Level Agreement)を定義しサービス保証を行っています。多様なSLAを提供し安定した品質を保証する点は、他社のサービスと比べても大きなメリットの一つとなっています。

Oracle Cloud Infrastructure(OCI)のラインナップ

OCIは「分散クラウド戦略」と題し、多様なデプロイメントモデルを提供し、あらゆる顧客のニーズに応えられるラインナップを揃えています。パブリッククラウド(Public cloud)、ハイブリッドクラウド(Hybrid cloud)、専用クラウド(Dedicated cloud)、マルチクラウド(Multi cloud)があり、その全てが同一のテクノロジーとアーキテクチャを利用するため、複数環境の併用や連携、システム移行がスムーズに行えます。ここでは、それぞれの環境について一つずつ簡単に紹介します。

パブリッククラウド(Public cloud)

AWSやAzureなどと同じように、パブリッククラウドとして利用できます。Oracle Cloudは2025年4月現在、25カ国、52のリージョンでサービス提供しており、リージョンを増やし続けています。企業は最適なリージョンを選択することが可能であるとともに、必要に応じてリソースの柔軟なスケールアップ・ダウンが可能です。

ハイブリッドクラウド(Hybrid cloud)

オンプレミス環境とクラウド環境を組み合わせたハイブリッドクラウドの構築をサポートしています。例えば、既存のオンプレミス環境のExadataあるいはExadata Cloud@Customerとパブリッククラウドをシームレスに統合することが可能です。

専用クラウド(Dedicated Cloud)

OCI環境そのものを顧客のデータセンターに導入し、特定の顧客専用のクラウド環境を提供するサービスです。専用クラウド(Dedicated cloud)を利用することで、パブリッククラウドの利点を享受しつつ、パフォーマンス、セキュリティコンプライアンス等の厳しい顧客要件を満たすことができます今後、わずか3ラックで構成できる「OCI Dedicated Region 25」が利用可能となる予定です。

マルチクラウド(Multi cloud)

OCIでは他クラウドプロバイダー(AWS/Azure/Google Cloud)との連携を積極的に推進しています。例えば、OCIと他クラウドプロバイダー間のセキュアで低遅延なプライベート接続を提供するOracle Interconnect for Azure/Google Cloudや、他クラウドプロバイダーのデータセンター内にExadata基盤を配置しOracle Databaseサービスを提供するOracle Database@Azure/AWS/Google Cloudにより、両者のクラウドサービスをシームレスに統合し、お客様に幅広い選択肢を提供することが可能となります。

Oracle Cloud Infrastructure(OCI)の代表的なサービス・ソリューション

ここでは、OCIの代表的なサービス・ソリューションについて紹介します。

Database Service

OCIはOracle DatabaseのReal Application Clusters(RAC)構成がサポートされる唯一のクラウドであり、様々なタイプのDatabase Serviceを提供しています。基本的なデータベース機能を提供するBase Database Service、Exadataの高性能を活かしたExadata Database Service、そして、特に注目すべきはAutonomous Databaseです。Autonomous Databaseは、Exadata基盤で提供するフル・マネージドな自律型データベースで、AIと機械学習を活用して自己管理、自己修復、自己保護を行う革新的なデータベースです。有用な機能の一つとして、負荷に応じてCPUリソースを無停止でスケールアップ・ダウンする機能があります。これらを活用すれば、運用コストの大幅な削減と高度な自動化が実現できるでしょう。

Exadata Cloud@Customer

オラクルの高性能データベースアプライアンスであるOracle Exadataを顧客のデータセンター内に設置し、クラウドサービスとして提供するソリューションです。データをオンプレミスに保持しつつ、クラウドの柔軟性と経済性を実現できます。

Oracle Cloud VMware Solution(OCVS)

オンプレミスのVMware仮想化環境をOCI上にシームレスに移行できるサービスです。既存のVMware仮想化環境との高い互換性を持ち、アプリケーションや運用に影響を与えることなく、クラウドへの移行が可能です。OCVSを活用すれば、企業は既存の投資を保護しつつ、クラウドの利点を享受できます。

Zero Data Loss Autonomous Recovery Service(ZRCV)

データベースの障害からのポイント・イン・タイムな復旧を可能にするサービスです。フルマネージド型のデータ保護サービスであり、ファイルの暗号化やリアルタイムバックアップにより、ランサムウェアに対する耐性も高められます。リアルタイムバックアップでは、データベースの変更をリアルタイムで別のリージョンに複製し、障害発生時には迅速なリカバリが可能です。ZRCVによりデータ損失のリスクを最小限に抑え、ビジネスの継続性を確保できます。

日鉄ソリューションズの「Oracle Cloudマネージドサービス」

日鉄ソリューションズは、OCIの導入支援から設計、構築、移行、運用までを包括的に支援する「Oracle Cloudマネージドサービス」を提供しています。このサービスは、各フェーズでお客様をサポートし、Oracle Cloudへの移行を強力に支援します。24時間のグローバルサポート体制も整えていますので、導入を検討されている方はぜひお問い合わせください。

関連ページ

おすすめブログ

JAWS DAYS 2025レポート:NSSOL初出展!AWSユーザーの熱気は凄かった
JAWS DAYS 2025レポート:NSSOL初出展!AWSユーザーの熱気は凄かった
今年3月1日、AWSのユーザーコミュニティ(AWS User Group-Japan)が主催する大規模オフラインイベント「JAWS DAYS 2025」@池袋サンシャインシティに、NSSOLが初出展しました!当日熱気に溢れていた企業ブースやセッションの様子をレポートします!