「FSlogix」を使った最適なプロファイル構成とは

「FSlogix」を使った最適なプロファイル構成とは

1. プロファイル構成検討の重要性とFSLogix

人気ブログ第2弾はストレージの負荷を検証しました。

仮想デスクトップを利用するにあたって、重要な要素の一つとして、ユーザのプロファイル構成が挙げられます。仮想デスクトップではユーザが利用するにあたって、どの仮想マシンが割り当てられても自分のPC環境(=ユーザ環境)を継続して利用できる仕組みが必要で、その仮想デスクトップ上のユーザ環境を「プロファイル」と呼びます。そのプロファイル構成の実装手段のひとつとして古くから利用されている移動プロファイルという仕組みがありますが、その移動プロファイルにおける課題や解決策は、『仮想デスクトップのユーザープロファイル管理に「FSLogix」は有効か』のブログ記事で解説しています。この記事は多くの方に読まれており、プロファイル管理における「FSLogix」の有効性について述べています。今回はその第二弾として、その「プロファイル」を格納するストレージへの負荷の観点で検証を行いました。

仮想デスクトップ環境を設計・管理する方々が知っておくべきポイントである、プロファイル構成によるIOPS特性の差異を確認することを目的に実施し、検証にあたってはOSのIO特性だけではなく、複数のアプリケーションも起動して操作することでそのアプリケーションが与えるIO特性についても確認しました。

さて、検証に利用するアプリケーションとして、今回はMicrosoft Edge、Chrome、Microsoft Teamsを採用しました。採用理由としては主に3つです。一つ目が、本検証の前に実施した事前検証において、ユーザのデータ保存先フォルダに高いIOが発生したこと。二つ目が、Microsoft EdgeやChromeは標準的なブラウザである点。三つ目が、一般的に、Microsoft Teamsに代表されるコラボレーション系のツール類は利用時にCPUやIOに影響が出ると言われている点です。実際には、OS上で利用するアプリケーションは多岐にわたるため、この類の検証においてアプリケーションの選定は難しいです。ただ、OA環境のプロファイル構成検討に必要なIO特性を把握するという目的を達成する意味では、今回の3つのアプリケーションは十分かと考えています。

2. 実際に検証した内容とは?

次に、実際に利用した検証構成や内容についてお話していきます。今回の検証を行うにあたっては、

  1. ローカルプロファイル
  2. 移動ユーザープロファイル+フォルダリダイレクト
  3. FSLogix
  4. FSLogix+フォルダリダイレクト

の4つの環境を準備しました。1つめのローカルプロファイルについては、検証環境自体の性能が結果に影響するため、仮想デスクトップのベースライン性能を確認することを目的に追加しています。なお、一部の構成でAppData\Roamingのフォルダをリダイレクトして利用していますが、AppData\Roamingをリダイレクト対象として指定することは、Microsoft Edge、Chrome、Microsoft Teams共に避ける構成として公開されている※1ため、今回の検証環境限りの構成になります。

次に、検証シナリオです。検証のシナリオに関しては、以下を挙げています。

羅列されたシナリオだけ見ると大した内容に見えませんが、シナリオの実行時には順序やその手順を踏まえて30手順以上準備しており、性能測定を開始するタイミングや、連続操作により同時処理にならないようにすること、IOが落ち着く時間を設けるなど、さまざま工夫をしております。また、Webサイトの閲覧に関しても、Service Workerというブラウザの裏側で動くような処理があるサイトを選び、通常のWeb閲覧よりもIO処理が含まれるサイトを選定しました。さらに、当然のことながら、これらの実施に先立ち、各種バージョンを固定するために、アプリケーションのバージョン固定、Windows Updateの停止、OU/GPOによる制御、FSLogixにおける標準設定(ロギング、リダイレクト除外設定、ストレージ設定)も併せて実施しています。

この本構成・シナリオの詳細については以下リンクよりダウンロードしてご確認ください。
【FSLogixを使った最適なプロファイル構成】検証シナリオ・検証結果の詳細

3. 検証結果

ここまでの内容を踏まえて、検証を行いました。FSLogixを利用した場合、仕組み上ストレージへのIOPSが少ないことは予測していましたが、ストレージにおけるIOPSは大幅に少ない結果になりました。IOPSファイル単位でIOが発生するフォルダリダイレクトに比べて、FSLogixではブロック単位で読み込みが発生する仕様のため、IOPSが減少したと考察しています。一方、FSLogixとFSLogix+フォルダリダイレクトの比較においては、フォルダリダイレクトのみとの比較のような著しい差は見受けられませんでした。

検証結果について詳しくは、以下リンクよりダウンロードいただけます。
【FSLogixを使った最適なプロファイル構成】検証シナリオ・検証結果の詳細

4. FSLogixの有効性のまとめ

今回の検証では、仮想デスクトップ環境を設計・管理する方々が知っておくべきポイントである、プロファイル構成によるIOPS特性について確認しました。FSLogixやフォルダリダイレクトの処理方式が異なることにより、IOPSに大きな差が生まれることがわかりました。※2

当社では、今回のようなプロファイル構成だけではなく、DaaS/VDIにおける様々な検証を行い、そのノウハウ・実績を日々更新しております。標準構成によるスピーディで高品質な提案や、長年にわたる数万ユーザの運用実績も兼ね備えておりますので、DaaS/VDIをご検討の際は以下のお問い合わせフォームからぜひご相談ください。
お問い合わせフォームはこちら

【補足】

※1 アプリケーション自体の前提事項を確認する必要がありますが、以下のサイトから%APPDATA%については、リダイレクトフォルダとして指定しないほうがよいという点を読み取ることができます。
またMircosoft Teamsについては、%APPDATA%(=AppData\Roaming)と%LocalAppData%(=AppData\Local)のデータを同期させないとアプリケーションのエラーが発生し動作が遅くなる、との表現があります。これらを以て、本文では、「避ける構成」と表現しています。

※2 今回のIOPS測定はストレージで取得した値で記載し、IOPS以外にもBlock SizeやThroughputや仮想マシン側から見たIOPSなど、多数のメトリックで取得しています。詳細を知りたい場合は、こちらからお問い合わせください。