(2018年6月29日公開・2022年12月15日更新)
VDI(仮想デスクトップ)を導入した企業の悩みでもっとも多いのは、レスポンスに対する不満だ。仮想PCが「遅い、繋がらない、固まる」という状態に陥れば、ユーザーのストレスは当然大きくなる。
そうしたトラブルが起きたら、どう対処すべきなのか。
まずは、トラブルの原因を特定しなければならない。 専門家であるベンダーとも相談しつつ、アプリケーションなどが原因であればそこを修正するなど、対策を講じていく必要がある。
ただ、こちらの記事(VDIを導入しても性能が出ない理由)でも述べた通り、「遅い、繋がらない、固まる」というトラブルの原因の多くは、サイジングの問題にある。
サイジングに関しては、こちらの記事(DaaS・VDIを導入する際に考慮すべき正しいサイジングとは)でも解説しているが、よくあるケースが、ホワイトペーパーや製品カタログなどに記載されたデータをそのまま適用してサイジングを行った結果、それが自社環境と合っていなかったというものだ。こうしたデータはあくまで平均値や理想値にすぎず、あらゆる企業に対してのパフォーマンスを保証するものではない。やはり事前に、専門家の力を借りて、最適なサイジングはどれほどか、調査することが望ましい。
残念ながらサイジングがミスマッチであり、その結果VDIの動作が遅くなってしまったら......。根本的な解決策は、リソースの増強しかない。しかし実際に、どのくらい増強すべきなのかは、それなりの専門知識がないと最適な判断が難しいところだ。
もうひとつ、VDI導入に関わるトラブルとしてよく耳にするのが、周辺システムとの連携に関するものだ。プリンタや動画再生機器、マイク、スピーカーなどの周辺機器と、VDIの相性がよくなかったりすると、周辺システムへのアクセスやそのレスポンスが悪くなるなどのトラブルが発生することがある。
それを防ぐには、使用が想定される周辺機器を事前に洗い出し、動作を確認しておくしかない。ただ、全社的にVDIを導入するケースなどでは、全国で統一された周辺機器を利用していないということも多い。海外ではとくに、周辺機器の環境が全く異なる場合もあり、それらすべての洗い出しにはなかなか骨が折れる。
また、コロナ禍以降は、Teamsなどのオンライン会議の利用が一般化し、DaaS/VDIに必要とされる性能が大きく変化し、パフォーマンス問題が増えた時期でした。
もしそうしたトラブルが発生した際、もちろん自社のIT部門で解決するのが一番だが、それが難しそうなら、専門家であるベンダーに相談を持ち込むという選択もある。
なお、あらかじめ運用をアウトソースするという選択をすれば、こうした調査まで含めてベンダーに任せられるので、一考の価値はあるだろう。
最近では、マイクロソフト社のAzure Virtual Desktopのようなクラウド上で提供されるVDI環境を選択することで、柔軟なリソース増強が可能になっている。また、オンライン会議だけをDaaS/VDIから分離(ブレイクアウト)して実施することができるテレワーク用シンクライアント※などもリリースされており、昔と比べてVDIのトラブルを解決する選択肢が多く存在している。
このような新しい技術・ソリューションの情報収集も含めて、ベンダーに相談するのも、一つの選択肢だと考えられる。
※テレワーク用シンクライアントについては、こちらの資料で詳しくご紹介しております。 DaaS/VDIでのWeb会議をよりスムーズに!ワンランク上の快適性を実現するテレワーク用シンクライアントとは