DaaS/VDIを導入する企業や自治体。導入を決断する背景には、情報セキュリティの担保やワークスタイル変革といった、企業価値に直結するような課題があり、その解として、「デスクトップの仮想化」という選択がなされたのだと言うことができる。
デスクトップを仮想化することで、どのような課題が解決できるのか。代表的な4つのメリットを、ここで紹介しよう。
DaaS/VDIを導入すると、実際にOSやアプリケーションが実行されるのはデータセンターなどにあるサーバー環境上となる。OSのセキュリティパッチの適用なども、サーバー側にのみ行えばよくなるので、「パッチの当て漏れ・古いバージョンのアプリケーションが残存する」ことが起きるようなこともない。さらにシンクライアント端末を導入することで、データがローカル端末に残ることもなくなるため、PCの紛失・盗難などのセキュリティインシデントなどのリスクを回避できるようになる。
DaaS/VDIの導入コストは決して安くはない。サーバーやデスクトップ仮想化ソフトウェアなどの費用が生じるので、初期コストはどんなに抑えようとしても金額が膨らんでしまうものだ。しかしトータルでのコストは、長い目で見ると削減につながる。
その理由は、端末運用コストの効率化にある。例えば、シンクライアント端末を導入することで、端末のキッティング作業はファットクライアントと比べると大幅に削減できるようになる。ソフトウェアのインストールはサーバーのみに行えばよくなるため人件費のカットにつながるし、またシンクライアント端末はシンプルな構造であるため壊れにくいという特長もある。性能も必要最低限のものがあればよくなるので、リプレースの回数や部品ごとのメンテナンスが大幅に削減できるようになる。
3~5年ほどの運用コストを導入前と比較すれば、導入コストは十分にペイできるようになっているのだ。
高齢化社会が進む昨今では、介護を理由に会社を去るケースも増加している。そうした人材をつなぎとめるためにも、企業としては在宅でも仕事ができるような仕組みを整備する必要があるだろう。在宅勤務でも通常勤務と同じ生産性を担保するには、会社にいるのと同様にシステムにアクセスできなければならないが、外部からそれを行う場合、セキュリティに不安が出てくる。デスクトップを仮想化しておけば、①で述べた通りそれが解消でき、在宅勤務のニーズに対応できる。
日本では、地震を始めとして、災害が多い。台風で交通機関が運休したり、大雪で立ち往生する車が出たり、という事態も毎年のように発生する。
そうした状況になると、会社にいなければアクセスできないデータや、会社のPC端末にしかないアプリケーションなどを使うことができず、業務は中断し、生産性が著しく下がることがある。
DaaS/VDIを導入しておけば、自宅のPC端末でも会社と同じ環境を整えることが可能になり、災害時などにも業務を継続できる。また、DaaSであれば、ベンダーが保有する堅牢なデータセンターを活用できるため、さらに業務継続性が向上するだろう。