仮想デスクトップのフラッシュストレージ利用の効果 | 仮想デスクトップ(DaaS | VDI)

2016.04.28
デジタルワークプレース 基礎 仮想デスクトップ
仮想デスクトップのフラッシュストレージ利用の効果 | 仮想デスクトップ(DaaS | VDI)

仮想デスクトップには効果があると言われつつも、非常に高価で高嶺の花だったフラッシュストレージですが、最近はSSDの単価が下がり、様々な技術が進んだことで手の届く製品になってきました。本コラムでは、そんなフラッシュストレージと仮想デスクトップ環境との相性の良さについて解説します。

フラッシュストレージについておさらい

フラッシュストレージと言った場合、SSDとHDDを組み合わせたハイブリッド・フラッシュストレージと、SSDのみで構成されたオール・フラッシュストレージの2つを指すことがあります。また、SSDではなくフラッシュ・モジュール(フラッシュ・メモリ)を利用した製品もありますが、今回はSSDで構成されたオール・フラッシュストレージに焦点を当てて解説します。

表1:フラッシュストレージの分類

分類 利用モジュール 特徴 代表ベンダー
ハイブリッド・
フラッシュストレージ
SSD+HDD 安価だが、設計・利用に注意が必要 EMC
NetApp
IBM
Nimble Storage
オール・
フラッシュストレージ
SSD コストと性能のバランスが良い EMC
Pure Storage
NetApp
フラッシュモジュール 非常に高速だが、高価 IBM
Violin

※ 2016年03月時点での情報です。すべての分類に跨る製品もあります。

SSDの特長は大きく分けて【性能】【容量】【集積度】【消費電力】【設計の容易さ】ですが、仮想デスクトップにおいて特に有効なのは【速度】と【容量】です。

表2:フラッシュストレージの特長(HDDストレージとの比較)

特徴 概要
性能 特にランダムIOに強く、スループットは同等か倍以上、IOPSやレスポンス(Latency)は数10倍以上の性能を持つ。
容量 特重複排除(※)や圧縮の機能を使うことで、物理容量の数倍~十数倍の論理容量(サーバから見た利用可能容量)を持たせる。
集積度 HDDストレージと同等の速度/容量をHDDストレージの半分以下の物理筐体、SSD本数で賄うことができる。
消費電力 消費電力が少なく、HDDストレージと同等の論理容量での消費電力は半分以下となる。
設計の容易さ RAID設計やデータ配置設計などの設計要素がほぼなく、接続元サーバ情報やディスクサイズを決める程度で設計完了するものが大半。

※ 重複排除とは同じデータ重複を除外し、データを小さく見せる機能。

フラッシュストレージの嬉しいところ

仮想デスクトップを運用する上で一番始めに問題になるのは、負荷が集中することで発生するストームと言われる現象です。通常時の業務利用では各ユーザがストレージにかける負荷(IOPS)は大きくないのですが、ストームが発生した際には通常の数倍~数10倍に膨れ上がります。その代表的なストームが「ログオンストーム」で、朝の就業時間に利用者がほぼ一斉にPCログオンすることでアクセスが集中し、仮想デスクトップが遅くなったり、応答がなくなったりすることが起こります。(図1:ログオンストームの原理を参照。)
この『ストームにどう備えるか』が、仮想デスクトップ設計のキモの1つです。

ログオンストームの原理

図1:ログオンストームの原理

通常利用時だけ考えると、IOPSは数千程度でいいので安価なHDDストレージで構成したくなります。しかし、図1のようなピークに備えることを考えると、ストレージの選択は非常に悩ましくなります。お金はかけられないし、かけたとしてもどこまで豪華にすれば良いのか悩むばかりです。
そんな中、フラッシュストレージの採用は解決策になり得るようになりました。数年前までの非常に高価なイメージがあるかもしれませんが、最近になって重複排除や圧縮の技術が進み、高価で容量が小さなSSDストレージをより効率的に使えるようになってきました。
また、この重複排除や圧縮の技術は同じデータが多いほど有効に働くため、同じOSデータが大量に存在する仮想デスクトップ環境に非常に有効に働きます。これにより、仮想デスクトップ環境ではSSDの物理容量の10倍以上の論理容量で利用できるようになります。この結果、物理容量単価が数百円/GBと高価なフラッシュストレージも、論理容量単価は数十円/GBとなり、安価なストレージと同等の価格帯と捉えられるようになってきました。
更にラック・場所代や電気代も安く済むことから、ランニング費用を含めたトータルコストも下げられるという“おまけ”もついてきます。

フラッシュストレージを入れたから大丈夫?

これまでお話してきたとおり、フラッシュストレージが仮想デスクトップに向く理由は大きく以下2つです。

① 非常に高い処理性能を持っており、ストームに対する懸念が激減する。

② 重複除外や圧縮の技術の効果が高く、論理容量単価が下がり、高価なHDDストレージに近いコストで購入できる。

ただし、フラッシュストレージの採用は高騰するIOに対する解決策でしかなく、それ以外が起因となるストームには対応できません。そのため、運用全体で考えた時にはまだまだ油断は禁物です。デスクトップ環境は常に変化するものです。油断することなく、環境の変化を意識した運用をしてください。
でも、それも大変なので、私としてはM³DaaS@absonneをご利用いただくことをお薦めします!

日鉄ソリューションズ株式会社
ITインフラソリューション事業本部
ITサービスソリューション事業部
ソリューションコンサルティング部 エキスパート
木村 直樹

関連ページ

おすすめブログ

PC端末更改で候補から外すなんてもったいない!Windows 11化対応でVDIを選ぶ理由
PC端末更改で候補から外すなんてもったいない!Windows 11化対応でVDIを選ぶ理由
Windows 10のサポート終了日である2025年10月14日が迫ってきており、多くの企業においては本格的にWindows 11化対応を検討しているのではないでしょうか。ご存知の方も多いかと思いますが、Windows 10とWindows 11とでは、ハードスペック面・セキュリティ面のシステム要件が大きく変わっています。