こんにちは。ITサービス&エンジニアリング事業本部(以下、ITS&E)ITソーシング事業部の眞有 和輝(まあり かずき)です。私は現在、お客様のAmazon Web Services(以下、AWS)環境の運用・保守業務を担当しています。これまでもIaC(Infrastructure as Code)についてブログを執筆していますので、興味があれば読んでみてください。
さて今回、12月上旬にラスベガスで開催されたAWS re:Invent 2025に参加してきました。クラウド市場の最新動向の把握や、最新のAWSサービスに関する情報収集を目的として参加してきたので、今回と次回の2回に渡って、各セッションからの学びや現地での体験、サービスアップデート情報についてお伝えしたいと思います。なお、AWS re:Invent2024の様子についてもブログを公開しているので、昨年の様子から振返りたいという方はこちらもぜひ読んでみてください。
AWS re:Inventは、AWSによるクラウドコンピューティングに関する世界最大規模の「学習型」カンファレンスです。14回目の開催となる今年は、2025年12月1日~5日の5日間開催され、NSSOLはITS&Eから計18名が参加しました。
イベント中はkeynoteをはじめ、3,000件を超えるセッションが実施されました。講演だけでなく、GameDay(トレーニングイベント)やChalk Talk(対話型セッション)など、参加型のセッションも多数用意されている点が大きな特長です。
AWS re:Inventは毎年多くのサービスアップデート情報が発表されることで知られており、今年も数多くの新情報が公開されました。例えば、次のようなアップデートがあります。
このうち、Kiro Autonomous Agent、AWS Security Agent、AWS DevOps Agentに関しては、後編でアップデートの詳細を紹介する予定なので、次回のブログもぜひ楽しみにしていてください。
AWS re:Inventの目玉といえば、やはり毎年注目を集めるKeynoteです。AWSの経営陣や主要サービスの責任者が登壇し、クラウドの未来やこれからの方向性、新サービス・新機能がまとめて発表されます。登壇時の演出も凝っているため、お祭りのような雰囲気に会場も賑わいます。
今年は5つのKeynoteが実施されました。AWS re:Inventの講演には番号が付けられており、Keynoteは頭文字「KEY」から始まります。ここでは、開催順にKEY001~KEY005のKeynoteを一覧で紹介しますので、詳しいリキャップ情報を知りたい場合は、講演番号も参考にしながら検索してみてください。
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この中で、個人的に特に印象に残ったのはKEY001とKEY005です。その理由をこれ以降でレポートしていきたいと思います。
AWSのCEOであるMatt Garman氏のKeynoteでは、主にAWS事業の最新状況として、「AIエージェント時代におけるクラウドとイノベーション戦略」に関する話がありました。
冒頭でAWSの事業成長と世界的な利用状況が紹介されました。AWSが年間1,320億ドル規模に成長したことや、S3への膨大なデータ蓄積、Bedrockを含むAI基盤の顧客数などを挙げながら、クラウド基盤としての圧倒的なスケールと信頼性が強調されました。続いて、「発明する自由を提供する」というAWSのミッションが改めて語られ、AWS AI Factories、Trainium3 UltraServersなどの最先端AIインフラや、事前学習段階で顧客データを統合できるAmazon Nova Forgeなど、次世代のAI活用を支える取り組みが紹介されました。
AIエージェント関連のパートでは、Amazon Bedrock AgentCoreにPolicy(制御)とEvaluations(継続評価)機能の追加が発表され、エージェントの信頼性と品質管理を高める方向性が示されたと思っています。さらに、新しいカテゴリのエージェント群であるFrontier Agentsも発表され、大きな注目を集めています。Frontier Agentsは従来のAIエージェントに比べて、人の介入なしに自律的に動作し、多数のタスクを処理できる点が特徴とされています。今回新たにFrontier AgentsとしてKiro autonomous agent、AWS Security Agent、AWS DevOps Agentが発表され、開発者の生産性向上と自動化への道筋が示されました。総じて、昨年に続きAI分野の進展が際立っており、AIが「タスクを支援する存在」から「業務を代行・自動化するAIエージェント」へと進化していることを強く実感しました。
さらに講演では、Sony、Adobe、文章生成・要約ツールを提供する米AI新興のWriter(サンフランシスコ拠点)など、実際の顧客事例が紹介され、AI導入の成功例が共有されました。各事例が導入背景からビジネス効果まで具体的に語られており、AIがもはや研究段階ではなく、すでにビジネスの中で価値を生み出しているフェーズに入っていることを改めて認識しました。
最後のまとめパートでは、10分間で25の新サービスやアップデート発表が相次ぎ、大盛況のうちに講演は終了しました。
AWS re:Inventが初めて開催された2012年以来、毎年Keynoteを担当してきたAmazon CTOのWerner Vogels氏の講演にも目を見張るものがありました。今年が最後の登壇になると語りながらセッションは幕を開けたため、冒頭から彼を惜しむ声が会場に溢れました。参加者席にKeynote内容に関わる新聞風の専用冊子が配布され、紙面には「To all the builders, thank you.(全ての開発者へ、ありがとう)」とWerner氏の直筆が記された付箋が印刷された粋な計らいもありました。
Werner氏は、まず「AIは仕事を奪うのか?」という問いを講演参加者に投げかけ、自身の考えを共有してくれました。彼は「一部のタスクやスキルは自動化されるが、AIが人を時代遅れにすることはない、開発者が進化し続けることで価値を保てる」と強調していました。
続けてWerner氏は、現在の技術革新の波がかつてのルネサンス期に似ているとし、開発者は単なるコードの書き手ではなく、「ルネサンスデベロッパー」へと進化すべきだと訴えました。その上で、これからの時代を生き抜くために重要となるエンジニアの資質を次の5つと提示しました。AIはあくまで道具であって、本当に大事なのはその道具を使う人間の思考と判断、そして責任であるというメッセージを受け取りました。
今回のAWS re:Inventを通じて、私自身AIエージェントへの好奇心が一段と高まりました。一方で、AI関連の技術を十分にキャッチアップできておらず、周囲のエンジニアとの差が開いているのではないかという焦りや不安も同時に感じています。まずは自分で何かAIエージェントを使ってみたり作ってみたりするところから始めてみようと思いました。
これまで、Keynoteについて紹介してきましたが、参加型セッションについてもレポートしたいと思います。私は今回のAWS re:Inventで手を動かしながらAI関連技術を学ぶことを参加目的の1つとしていました。その中で参加したのが、AWSのコンソールを操作しながら4人1チームで課題を解決していく「AWS GameDay」というゲーム形式のハンズオンセッションです。GameDayでは約8件のセッションが開催されましたが、私が参加したセッション(GHJ306:AWS GameDay: AI-Assisted Developer Experience ft. New Relic)では、Amazon Q Developerを利用した課題解決を体験しました。Amazon Q Developerは生成AIを活用した会話アシスタントツールです。ゲーム内容は非公開のため紹介できないのですが、AWSの認証情報を持たせ、自然言語で状況を伝えるだけで、Amazon Q Developerが自動でAWSリソースを調べ、問題を特定し、修正まで行ってくれる一連の流れはとても印象的でした。AIによる開発体験の進化を強く実感しました。
なお、Amazon Q Developerについて、当社のAWS Ambassadorである五味 なぎささんが執筆したブログも掲載しておりますので、ぜひあわせてご覧ください。
今回は、イベントレポート前編として、AWS re:Invent 2025のKeynoteの概要や私が参加したセッションでの体験を共有しました。少しでも参考になれば幸いです。KeynoteやBreakout Sessionの内容はYouTubeのAWS公式チャンネルで内容が全編配信されていますので、より詳細を知りたい方はぜひそちらもご覧ください。
後編では、re:Invent期間中に発表されたサービスアップデートの中から、特に注目した内容を詳しくご紹介する予定です。ぜひ引き続きお読みいただければ嬉しいです。
ちなみにNSSOLではAWS包括的技術支援サービスを提供しています。AWSへの移行でお悩み等ございましたら、ぜひ本サービスもご活用ください。また、お客様の更なるAWS利活用をご支援するべく、コスト最適化とIT統制に関するアドバイスをまとめたダウンロード資料を公開中です。ご興味ある方はぜひこちらの「AWSのガバナンス強化と、コスト最適化のポイント」もご確認ください!
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