アプリケーション仮想化による運用・管理性の向上 | 仮想デスクトップ(DaaS | VDI)

アプリケーション仮想化による運用・管理性の向上 | 仮想デスクトップ(DaaS | VDI)

前回のコラムでは、アプリケーション仮想化とは何か、どのような課題を解決できるのかを紹介しました。今回のコラムでは、具体的なアプリケーション仮想化の導入事例を紹介します。

Webブラウザのアプリケーション仮想化

Internet Explorerのサポートポリシー変更などにより、最近のWindowsでは、各OS上で動作する最新以外のバージョンのWebブラウザを利用することは、セキュリティの観点で大きなリスクを抱えることになります。しかし、アプリケーション仮想化の仕組みを用いてWebブラウザを仮想化することで、ユーザの利用する環境とアプリケーションを動作する環境とを分離することができます。

Webブラウザのアプリケーション仮想化

「①インターネット接続用Webブラウザの仮想化」では、ネットワーク環境の分離(詳しくは標的型攻撃の対策としての仮想デスクトップ①標的型攻撃の対策としての仮想デスクトップ②を参照)が実現できます。インターネットへの接続を、端末ではなくアプリケーション仮想化サーバに限定することで、ユーザのデスクトップ環境がマルウェアなどに感染する危険性を低減できます。「②業務用Webブラウザの仮想化」では、古いバージョンの業務システムの分離が実現できます。アプリケーション仮想化サーバ上で古いバージョンのWebブラウザを実行し、業務システムへのアクセスをそのブラウザに限定させることで、端末のバージョンを最新に保ったまま、業務システムを延命して利用し続けることができます。

アプリケーション仮想化による運用・管理性の向上

アプリケーション仮想化は、端末やアプリケーション管理者の運用・管理性の向上に非常に効果的です。
業務で利用するアプリケーションの種類は多岐に渡りますが、アプリケーションの種類だけ、端末へのインストール作業やアップデート作業、サポート対応などが必要です。
アプリケーション仮想化を活用することで、アプリケーション仮想化用モジュールさえあれば、すべての種類のアプリケーションを利用できるようになります。そのため、端末へのインストール作業やアップデート作業、メンテナンス作業などが不要となり、端末管理者の負荷を減らすことができます。

アプリケーション仮想化による運用・管理性の向上

また、アプリケーションの動作が端末の環境に依存しなくなるため、端末の種類ごとにアプリケーションの検証やサポート体制を整える必要がなくなります。他にも、端末にローカルデータを持つようなアプリケーションの場合は、端末に依存せずにアプリケーションのメンテナンスができるため、アプリケーション管理者の負荷も減らすことができます。

機密情報を取り扱う業務システムのアプリケーション仮想化

業務システムのセキュリティ強化のためにアプリケーション仮想化を選択することもあります。例えば、機密情報をダウンロードして利用するような業務システムの場合には、業務ごとにユーザの端末に機密情報をダウンロードする必要があります。これに対し、アプリケーション仮想化サーバ上で機密情報の保存されたファイルを開き、それを画面配信することで、ユーザの端末に機密情報をダウンロードする必要がなくなります。これにより、ユーザの端末を介した情報漏えいの発生を防ぐことが可能です。

機密情報を取り扱う業務システムのアプリケーション仮想化

ここまでアプリケーション仮想化の活用事例を挙げてきましたが、活用できるシーンは他にも沢山あります。お客様によっては、アプリケーション仮想化とタブレット端末を組み合わせて利用することで最適なワークスタイルを実現した、という例もあります。アプリケーション仮想化を効果的に用いることで、より貴社のニーズに即した仮想デスクトップ環境の実現をお手伝いいたします。

日鉄ソリューションズ株式会社
ITインフラソリューション事業本部
ITサービスソリューション事業部
M³DaaS推進部
杉浦 寛