(2021年11月9日公開・2023年1月20日更新)
クラウドやデータセンターのデスクトップ環境を利用できるDaaS/VDIは、コロナ禍以前からテレワークのセキュリティ確保に強みを持っていましたが、ニューノーマル時代のテレワークにおいてもその強みは変わらないどころか、最適と言えるソリューションです。
ニューノーマル時代でもセキュリティの観点では強みを持つDaaS/VDIですが、快適性については注意すべきポイントがあります。それは「Web会議の快適性」です。元来、Web会議はDaaS/VDIが苦手としていた動画・音声の分野です。そのため、Web会議が頻繁に実施されるようになったニューノーマル時代においては、"快適なWeb会議をDaaS/VDIでも実現する"ということは利用ユーザーのDaaS/VDI環境の満足度向上からも重要な検討ポイントになっています。
一般的にWeb会議の快適性と言えば、ネットワーク品質に着目することが多いのですが、DaaS/VDIではさらに2つのボトルネックとなりうる点が存在します。具体的には、ネットワーク経路とDaaS/VDIに対する負荷です。
①ネットワーク経路 ②DaaS/VDIに対する負荷
Web会議ツールはDaaS/VDI上で動作します。このため、ネットワーク経路は図1のように、端末⇔DaaS/VDI⇔Web会議サービスとなります。多段通信になることで、映像や音声に劣化が生じ、Web会議を利用するユーザーのストレスを高める結果となってしまいます。
図1 ネットワーク経路の課題
Web会議の映像と音声のエンコードをDaaS/VDI上で実施するため、多くのDaaS/VDIユーザーが同時にWeb会議を実施した場合、DaaS/VDIシステム全体に大きな負荷がかかってしまいます。DaaS/VDIでは、システム構築当初に想定した負荷を基に算出したCPUリソースしか利用できないので、Web会議の利用を想定したCPUリソースを準備していないと、急激な負荷の増加に耐えきれなくなってしまいます。結果として、Web会議の品質が低下して会議が成り立たなくなったり、Web会議を実施していない別のユーザーの業務に大きな影響を発生したりする可能性があります。
図2 DaaS/VDIへの負荷の課題
このようなDaaS/VDIでのWeb会議の課題を解決するには、主に4つの方法があります。
各解決方法のメリット・デメリットは以下の通りです。
図3 各解決方法のメリット・デメリット
4つの解決策には、それぞれどのくらいの効果があるか、実際に検証しました。ファットクライアント(=テレワーク用シンクライアントの代替)と3つの検証用仮想デスクトップを用意し、この4端末でWeb会議を実施する形で検証し、画質や音質、CPUリソースの負荷状況を比較しています。なお、検証用の仮想デスクトップは、「通常VDI(=「CPUリソース増強」検証用)」「vGPU(=「vGPU搭載」検証用)」「最適化(=「最適化パックの適用」検証用)」の3つとなっています。
検証結果は図4の通りです。
図4
検証の結果、細かな差異はあるものの、どの解決策も高い効果が見込めることが分かりました。ただし、画質/音質の評価は主観ですので、実際にWeb会議の品質がどれくらい改善するのか疑問に感じる方も多くいらっしゃるかと思います。そこで特別に、検証の様子を記録した動画を一部公開いたします!以下リンクからご覧いただけますので、各解決策の違いや効果をぜひご体感ください。
Web会議検証結果(Zoom編 サマリ版)
また、実際の解決策の導入検討については、今回のようなWeb会議の技術検証に加え、導入環境や運用方法・コストなどの検討も必要になってきます。NSSOLにはDaaS/VDIの導入をはじめ、Web会議時の快適性の課題解決にも高い知見とノウハウがあります。お困りの場合には、ぜひお気軽にご相談ください。