VDI導入を考えるにあたり、悩むことのひとつは、「どのITベンダーに依頼するか」だろう。
いくつもの大手ITベンダーがそれぞれの強みを打ち出している中で、どれが自社に合っているかをウェブ上の情報のみで見抜くのは至難の業。最終的には、いくつかのITベンダーから話を聞き、選ぶことになるだろうが、プレゼンテーションが優れているからといって最適なベンダーであるとは限らない。
特に大規模導入の場合、ITベンダー選びに失敗すると、大規模導入ならではのトラブルが起きやすくなるため、より慎重にならなければいけない。
結論から言うと、ただ「導入をするだけ」なら、どの大手ITベンダーに頼んでも、さほどの差は生まれない。それよりも、導入後の「運用」において、ITベンダーの能力の差が出てくる。
大企業の場合、システム関連の組織数が複数あり、縦割りで動いていることが多い。監視チーム、データセンター、ヘルプデスク、そして情報システム部門など、複数の組織がVDI運用に関わるはずだ。
そうした中でトラブルが発生すると、いったい今、どの組織がトラブル対応にあたり、どういった状況なのかが見えにくくなり、対応が遅れるケースがある。
それを防ぐためには、あらかじめしっかりした運用設計を行っておく必要がある。どんなトラブルが起きる可能性があるのかを事前に細かく想定した上で、どの部署の誰がその対応にあたるのかを、きっちりとフローに落とし込み、手順書を作り込んでいくことが求められる。
このような運用設計のノウハウは、過去に様々な事例やトラブルに対処してきたITベンダーだからこそ身につくものである。すなわち、具体的な運用設計ができるベンダーは経験豊かであると考えられる。
また、実際の運用にあたっても、大規模導入の実績をいくつも持つITベンダーは、トラブルが起きた際のボトルネックや解決の勘所がわかっているため、スピーディーな解決を期待できる。
「運用設計をどこまで具体的にやってくれるのか」と、「大規模導入の実績」については、必ずITベンダーに質問すべき項目だろう。
なお、選ぶ際のひとつの目安となるのは、DaaSとオンプレミス型の両方を手掛けているITベンダーかどうかだ。DaaSを提供しているということは、他社のVDIを預かって運用しているわけであり、その中で培われた実践的なノウハウが、大規模導入およびその後の運用にあたっても生きてくる。
以上のようなことを踏まえた上で、より親身になって相談に乗ってくれるITベンダーを探すと、きっと自社に最適なパートナーが見つかるだろう。