遅い、つながらない、固まる......。
高い期待とともにVDI(仮想デスクトップ)を導入したはいいが、まったくその性能を出すことができず、システム管理部門には、毎日のようにクレームが届く......。
ワークスタイルの変革を促すはずのVDIが、思ったように活躍してくれないという悩みは多い。
なぜ、そんなことが起きるのか。 根本的な原因のひとつとして考えられるのは、「不適切なサイジング」である。
VDI導入後の不満として圧倒的に多いのは、冒頭で述べたような「レスポンスの遅さ」である。VDIはテクノロジー上、CPUやメモリなど決まった容量のリソースをユーザー全員で共有し、分けて使っていくことになるが、リソースが十分でなければ、同時にアクセスしてくるユーザーが多いほど性能が落ちることになる。
その典型的な例が、始業時刻に出社してきた従業員が一斉に仮想環境にアクセスした結果、レスポンスが急低下するという、いわゆる「ログインストーム」だ。起動処理、メールソフトの立ち上げなど、朝一で行う作業というのは、意外に負荷が高い。それがネットワークの帯域を食いつぶして性能が出なくなってしまうということが往々にして起きている。
VDIの性能が出ない理由を調べるにあたり、まず調べるべきは、「誰の」「どのプロセスが」「どれだけリソースを使っているか」である。
そして、とりあえずの対処法としては、調べたデータをもとに、リソースが平均的に使われるように業務の流れを整える必要がある。
また、特定の部門や社員が、かなりのリソースを使っている場合には、それをうまく調整して減らしていかねばならない。
ただし、これらはあくまで対処療法にすぎず、繁忙期などで仕事量が増えれば、また同じトラブルが起きてくるかもしれない。
抜本的な解決策は、やはりリソースの増強しかない。
その際には、ユーザーがPC端末やアプリケーションをどんな風に使っているかをしっかり把握し、理想的には、「誰の」「どのプロセスが」「どれだけリソースを使っているか」を常時可視化できるといい。
自社のIT部門でそれが実現できれば問題ないが、難しそうであれば、実績あるベンダーに相談するのが確実だろう。 また、近年は、そうした稼働状況を監視できるツールも開発、販売されているので、まずはその導入を検討するのもひとつの手だ。
こうして自社ITの稼働状況を詳しく知ることで、社員がどんな働き方をしているかも分析できるため、VDIによる働き方改革にあたっても、大いに参考になるはずだ。