新日鉄住金ソリューションズは、豊富なノウハウをベースにしたITインフラの包括的アウトソーシングサービス「NSFITOS(エヌエスフィットス)」を提供している。2016年12月に「NSFITOS」及び次世代運用サービス「emerald(エメラルド)」について解説する「次世代運用サービスセミナー」が開催された。
まず、ITアウトソーシングサービス「NSFITOS」提供の背景について、新日鉄住金ソリューションズ ITインフラソリューション事業本部 NSFITOS企画推進センター 副所長 白杉 武志氏が解説した。
新日鉄住金ソリューションズは半世紀以上にわたる日本製鉄向けのシステム運用をはじめ、300社以上の運用を手掛けている。その長い歴史の中でITの役割は大きく変わりつつあると言う。
「1960年代から約20年間は、大量の処理をシステムが担う"業務の自動化"が中心でした。その後の20年はインターネット技術やソフトウェアパッケージの台頭による"業務の最適化"が盛んに行われました」と白杉氏はIT黎明期から2000年代初頭までを振り返る。
現在、ITはモバイルやソーシャル、IoTやビッグデータ、人工知能、機械学習など新たな転換が始まりつつある。
「今までITはコストとして捉えられていましたが、これからは経営に貢献する戦略的な意思決定の役割として発展していくでしょう。つまり "経営とITの融合"へと転換していきます。」
「ITの役割の変化に気づいている多くの企業は、企業競争力を高めるためにITを戦略的に活用し経営に貢献するべきだと考えている。しかし、その一方で業務の自動化・効率化に貢献してきた大量のシステムは決して止めてはならない重要なシステムとして位置づけられており、維持・メンテナンスに労力やコストがかかっています。そして、経営との融合を目指す戦略的なIT活用への舵取りができない企業が多い」と白杉氏は述べている。
「IT要員の育成や不足に悩まされ、セキュリティニーズの高まりや新しいIT技術への追従、品質確保、投資の可視化、コスト削減、IT人材の属人化防止、事業継続性確保のためのBCP対策、事業参画へのIT戦略策定など企業のITに関する悩みが尽きることはありません」
これからの情報システム部門には経営に貢献する戦略的な活動が必要不可欠であり、実行しなければ競争優位を保てない。
そのための企業が取るべきIT戦略について白杉氏は次のように提言する。
「戦略的なITを実現するためには、今まで作り上げてきた基幹システムの"既存運用"を解放し、戦略的な活動へと人的資源やコストをシフトする必要があります。そのための手段として「ITアウトソーシング」が一つの解決策となります」
つまり、ITアウトソーシングを活用して運用品質を向上させながらコストを低減することで、戦略的な領域に情報システム要員を配置することが可能になるのだ。
新日鉄住金ソリューションズでは、企業が戦略的なIT活用へとシフトするために包括的なITアウトソーシングサービス NSFITOS (Framework-based IT Outsourcing Service)を提供している。
NSFITOSは、新日鉄住金ソリューションズが50年以上にわたるシステム構築・運用実績のノウハウの集大成として、「クラウド」(absonne)、「次世代運用サービス」(emerald)、「高信頼性ファシリティ」(NSFITOSセンター)、それらを実現する「エンジニアリング」の4つを包括的に提供する国内トップレベルのITアウトソーシングサービスだ。
NSFITOSの特長について白杉氏は次のように語った。
「一般的なアウトソーシングサービスは、サービスレベルが画一的で痒いところに手が届かない場合や最新技術変革のスピードに追従できない場合があります。それに対してNSFITOSではインフラにフォーカスし弊社の経験と技術力でお客様環境に適した常に最適なサービスを提供します」
NSFITOSでは、お客様のもつ多様なインフラ環境全てに対して、質の高い運用をワンストップで対応できるのだ。
NSFITOSは、業種を問わず数多くの実績や引き合いがあると言う。そのほとんどのお客様は「運用コストを削減したい」「社員を運用業務から解放したい」「戦略的なコア業務に人材をシフトさせたい」という共通の目的を持っている。
白杉氏はNSFITOSの代表的な事例を紹介した。
製造業のある企業は、運用コスト低減とコア業務へのシフトに加えて、分散されているデータセンターを集約しつつ、災害対策を実現したいという要望があったと言う。さらにクラウド化によりスケーラビリティを確保することも要件として定義されていた。
「このお客様にはNSFITOSをご活用いただきました。NSSOL第5データセンターを利用してサーバー集約や災害対策を行い、スケーラビリティを確保するためのクラウド化はabsonneを利用しています。既存システムの運用はNSSOLに集約しています」
その結果、情報システム部門の運用要員を約70%削減するなどの成果をあげている。また、NSFITOSを採用以降、対象システムが増加する中、運用コストを当初の目標削減額より更に年間数千万円低減させることに成功させた。まさに戦略的なIT経営の実現にシフトするためのITアウトソーシング活用の成果が紹介された。
その運用の実態について白杉氏は次のように述べた。
「新日鉄住金ソリューションズでは、ITILに準拠した運用サービスを提供することに併せて、運用要員の稼働状況を各運用プロセス単位で報告を行うことでお客様に対して運用の可視化を実現しています。さらに稼働状況を分析してボトルネックを把握することで稼働削減に向けた改善施策を実施しお客様のコスト削減に貢献しています」
企業を取り巻く環境は大きな変化を迎えようとしている。そして、それを支えるのはITであり、今まで以上に情報システムが経営に貢献するものへと変革する必要がある。
そのための手段として包括的ITアウトソーシングサービス「NSFITOS」を活用することで、「コスト」「品質」「要員」の問題を解決できるようになるのだ。
NSFITOSは、情報システム部門を「既存運用」から解放し、戦略的な活動にシフトするための有力な選択肢と言えるのだ。
後半では、次世代運用サービス「emerald」と、これを実現するキーツール「IPcenter」に関する講演をレポートします。
※制作当時の社名を記載しております。