第3世代に突入したDaaS/VDIの最新トレンドとは

第3世代に突入したDaaS/VDIの最新トレンドとは

“Withコロナ時代”のワークプレースにおけるDaaS/VDIの価値

前回は、「2023年版:DaaS/VDIの変わらぬ価値と新たな利用方法とは?」というタイトルで公開し、多くの方にお読みいただいております。今回はその第2弾としてDaaS/VDIの最新トレンドをお届けします。第一弾をまだお読みでない方はぜひ「2023年版:DaaS/VDIの変わらぬ価値と新たな利用方法とは?」からお読みください。

2020年に新型コロナウイルスが流行し始めた頃は、緊急事態宣言の要請を受けて導入を急いだケースが多く、「テレワークは一時的」という考え方が一般的でした。しかし現在は、テレワークを含めたワークプレースの捉え方が大きく変化し、「テレワークが基本」というスタイルが当たり前となってきました。
これに伴い、これまでとは異なるセキュリティのリスクが出てきており、情報セキュリティ10大脅威の調査結果においても、ここ数年は「テレワーク等のニューノーマルな働き方を狙った攻撃」がランクインしています。

出典:IPA「情報セキュリティ10大脅威」

出典:IPA「情報セキュリティ10大脅威」

また、多くの端末が社外にあることによって情報漏洩のリスクが高まる上、セキュリティパッチの適用漏れなども発生します。今後も新しいセキュリティリスクが生じていく中では、最新のトレンドを取り入れたワークプレースを整備していくことが重要です。その対策としてDaaS/VDIは有効な手段です。「2023年版:DaaS/VDIの変わらぬ価値と新たな利用方法とは?」でも述べたように、端末内にデータを保持しないため、端末の紛失・盗難による情報漏洩リスクを軽減することが可能です。また、データセンター側での一括管理によって、OSアップデートやパッチを確実に適用することが可能となり、ウイルス定義ファイルの更新漏れも防ぐことができます。

本記事では、そのDaaS/VDIの時代と共に変化してきたトレンドを3つの世代に分類して説明していきます。

DaaS/VDI環境トレンドの変化

2000年代後半から本格的にソリューションの提供が始まったDaaS/VDIも時代と共にさまざまに変化してきました。

DaaS/VDI環境トレンドの変化

第1世代では、DaaS/VDIは主にオンプレミスで構築されました。この時代には、仮想デスクトップ製品の機能拡張が進み、仮想デスクトップの展開方式も、マスターとの差分ディスクのみを持つような方法へと変化しました。また物理面では、SSDの普及によりAll Flashサーバーが一般的となり、VMware vSANのようなHCI技術もスタンダード化し始めました。

第2世代では、クラウド化の潮流を受け、パブリッククラウド上にVDIを構築するケースが増えました。主要パブリッククラウドと連携した、ベンダー提供のコントロールプレーンサービスも次々とリリースされ、多くの企業がクラウド上のDaaS/VDIを利用するようになりました。

現在の第3世代では、VDIの在り方や求められるポイントがさらに変化してきています。この記事では、以下の3つのキーワードに沿って、近年のトレンドを紹介いたします。

  • 快適性の追求
  • FSLogixの提供開始
  • ハイブリッドクラウド対応

第3世代のトピック紹介

1. 快適性の追求

一時的な業務形態として「テレワーク環境の快適性」はおざなりにされてきましたが、従業員の生産性を維持するためには、テレワーク環境でもオフィス同等の快適性を実現する必要があります。
快適なWeb会議環境を整備することがカギとなりますが、実現には2つの課題が存在します。1つ目は、映像/音声のエンコード処理が仮想デスクトップ上で行われることによるDaaS/VDIへの負荷増大。2つ目は、Web会議の通信が、物理端末からDaaS/VDIを経由してWeb会議サービスに流れるという経路上の無駄による品質の劣化です。

この問題に対して、以下のアプローチをするケースが増えています。

vGPUの追加

映像/音声の処理をCPUからvGPUにオフロードすることで、ボトルネックの一つである『DaaS/VDIにかかる負荷』の問題を解消します。OSやアプリケーションの要求リソース量は年々増加し、高解像度モニタを利用するユーザやマルチモニタ構成で業務をするユーザも増えています。こうした流れを受けて、GPUのニーズは世の中全体で高まっています。

最適化パックの適用

映像/音声の処理を物理端末側で行い、物理端末が直接Web会議サービスと通信できるようにする「最適化パック」が、Web会議ベンダーやDaaS/VDI製品ベンダーからリリースされています。
これを適用することで、『DaaS/VDIにかかる負荷』と『ネットワーク経路』の問題を両方解決できます。

端末側へのオフロード

通常業務はVDI上で行い、Web会議のみ接続端末上で起動することで、『DaaS/VDIにかかる負荷』と『ネットワーク経路』の問題を解決します。
当社開発の「テレワークシンクライアント」では、シンクライアント端末本来のセキュリティ機能を保ちつつ、一時的な書き込みなどの要件をクリアすることで、DaaS/VDIとFATクライアントの”いいとこどり”を実現しています。

端末側へのオフロード

DaaS/VDI環境でWeb会議の快適性を改善する方法とは」で、詳細な検証結果も紹介しておりますので、ぜひご参照ください。

2. FSLogixの提供開始

MicrosoftがFSLogixを買収したことにより、追加コストなしで機能を利用できるようになりました。
従来の移動ユーザープロファイルでは非サポートだったプロファイルの同期的なバックアップに対応しており、ログオン時間も高速化したためユーザビリティを大きく向上させることが可能となりました。
これらの理由から、FSLogixはDaaS/VDIにおけるプロファイル保持方式としてデフォルトになりつつあります。
ご好評いただいている「仮想デスクトップのユーザープロファイル管理に「FSLogix」は有効か」や「「FSlogix」を使った最適なプロファイル構成とは」の記事も併せてご参照ください。

3. ハイブリッドクラウド対応

オンプレミスとクラウドにはそれぞれメリットがあります。クラウドには必要に応じてリソースを追加・削除できる柔軟な拡張性があります。また、HWを購入する必要がないため、導入までのリードタイムが短いことが特徴です。

一方で、クラウドでオンプレミス同等のスペックを出すにはコストが高くつく場合があります。オンプレミス構成はカスタマイズ性に富んでおり、細やかな要件も実現することができます。そこで、それぞれの良さを享受できるのがハイブリッドクラウドです。ユーザの接続先は一本化したまま、オンプレミスとクラウドの両環境を利用できます。パフォーマンスを求めるユーザデスクトップはオンプレに、急遽必要になったデスクトップはクラウド上に即座に追加するなど柔軟な運用が可能です。

さいごに

「テレワークが基本」というスタイルが当たり前になり、新しいワークプレースへの対応が求められる変化の時代においても、DaaS/VDIの変わらない価値とそのトレンドをご紹介してきました。NSSOLは、DaaS市場において数年にわたって業界No.1としてリードし、多くの企業様でのご利用、延べ数万のエンドユーザ様にその価値を提供してきました。セキュアかつ快適なテレワーク環境にご興味のある方は是非お問い合わせください。

※出典:株式会社富士キメラ総研
「クラウドコンピューティングの現状と将来展望」
2014年度~2023年度見込値および予測値